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がんで体重が減少する理由としては、がんによるエネルギー消費量の増大やがんによる全身の炎症、がんの影響による食事量の減少などが挙げられます。がん細胞は通常の細胞に比べて、増えるスピードが速く、多くのエネルギーを使います。がんが身体の中に存在するだけで、自然に多くのエネルギーを消費することになるので体重の減少につながります。また、がんは全身に強い炎症を起こすので、身体の中のタンパク質と脂肪の代謝バランスが崩れ、脂肪や筋肉の量が減るので体重が減ります。
大きくなったがんによる食道や胃などの消化管への圧迫、がんの影響による消化不良、がんによる痛みや倦怠感、腹部膨満感などの症状による食事量の減少でも体重が減ることがあります。
では、どれくらい体重が減った時にがんを疑えばよいのでしょうか。もし、ダイエットのような意図的な減量や食事制限をしていないのに、過去6か月間の体重減少が5%を超える場合には、がんによる体重減少を疑いましょう。例えば、50㎏の人で体重が2.5㎏以上減っていた場合には注意が必要です。入浴前や起床時など、同じ状況で定期的に体重を測る習慣をもつとよいです。毎日体重を測定するのが難しいと感じる人は、1週間に1回か1ヶ月に1回でもよいので、体重を気にするようにしてみてください。
がんによる症状の1つとして体重減少が挙げられますが、痛みや嘔吐、倦怠感などと違い、体重が減っても困っている自覚がなく、あまり気にしない方もいるかもしれません。しかし、体重が減ると体力が落ちるので、がんの治療を続けられない場合もあります。また、体重が減ってしまうと、がんに対する治療の副作用が強く出てしまったり、がんの再発や転移が起こりやすくなります。肺がんの患者さんを対象にした研究によると、1年間の体重減少率が大きい人ほど、生存期間が短くなることが明らかになっています。(Takayama K, et al. Support Cancer 2016;24:3473-3480) つまり、がんに負けないためにも体重減少を防ぐことが大切です。
がんによる体重減少は、がんの治療の継続を難しくすることや、がんの再発や転移、生存期間にまで影響することがわかっています。また、がんによる体重減少が起こる時には筋肉の量が減っているので、今までできていた仕事や家事、社会的な活動などが思うようにできなくなり、生活の質が低下してしまいます。がんに負けないためには、体重減少を防ぐことが大切です。がんによる体重減少を食い止める具体的な方法としては、以下のようなものが挙げられます。
体重減少を食い止めるには、バランスの良い食事が基本となります。タンパク質やカロリーが多く、ビタミンやミネラルが十分にとれる食事を心がけます。ただし、食事をとることが苦痛になってしまうのはよくありません。食事の内容は、医師から特に指示がなければ、食べたいもの、食べやすいものをとるようにしましょう。何を食べればよいか不安な時には、医師や看護師、栄養士などに相談してみましょう。
味や見た目、食感、匂いなどによって、吐き気や嘔吐が誘発され、食事が思うようにとれず、体重減少につながる場合があります。食事が思うようにとれない時には、調味料や調理法、盛り付けの仕方などを工夫するとよいかもしれません。水分の多い野菜や果物、あっさりとした味付けの物、プリン、ゼリーなどのような口当たりがよく飲み込みやすいものなどを試してみるのも1つの方法です。食べ物を飲み込みづらいという症状がある時には、柔らかく調理したり、すりつぶしたりしてもよいかもしれません。
食事をする時にむせて、食事がとりづらい時には姿勢や体位を見直してみましょう。水分が多いとむせやすいので、片栗粉などでとろみをつけるとよいです。
がんで体調が悪い時や気分が落ち込んでいる時に、自分で食事を用意するのを面倒に感じる方も多いのではないでしょうか。箸で軽く触れただけで切れるように魚や肉をやわらかく調理したメニューや飲み込みやすいようなメニューを届ける宅配サービスがあるので利用してみるのもよいかもしれません。電話やインターネットなどで簡単に注文できるので、検討してみるのも1つの方法です。
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