がんとANK免疫細胞療法の教科書~ANKブック~ | sponsored by リンパ球バンク株式会社
がんとANK免疫細胞療法の教科書~ANKブック~ | sponsored by リンパ球バンク株式会社 » がんに関する疑問や悩み » 抗がん剤の副作用は眼にも出る?

抗がん剤の副作用は眼にも出る?

このサイトは「リンパ球バンク株式会社」をスポンサーとして、Zenken株式会社が運営しています。

一般的に抗がん剤の副作用というと、倦怠感や吐き気、脱毛などがよく知られていますが、治療の影響が眼に現れることもあります。

具体的には「見えづらい」「目がかすむ」「涙が出る」といった症状が挙げられますが、こうした変化は加齢や疲れのせいだと思い込みやすく、抗がん剤の副作用だと気づくのが遅れてしまうケースも少なくありません。

これらの眼の副作用は命に関わることは少ないものの、対応が遅れると、視力や眼の機能の回復に時間がかかる可能性があります。この記事では、抗がん剤で起こる眼の副作用について、主な症状や治療中の注意点を紹介します。

抗がん剤が眼に影響を及ぼす理由

抗がん剤が眼に影響を及ぼす理由については、すべてが明らかになっているわけではありません。しかし、いくつかの要因が関係していると考えられています。

その一つが、眼を構成する細胞の性質です。角膜をはじめとする眼の細胞の中には、細胞分裂が比較的活発なものがあります。抗がん剤は、細胞分裂の盛んな細胞を攻撃する作用をもつため、こうした眼の細胞も影響を受けやすいのではないかと考えられています。

また、体内に投与された抗がん剤が涙の中に排出され、その成分によって眼の表面や組織が刺激を受ける可能性も指摘されています。

なお、眼の副作用は抗がん剤に限ったものではありません。がん治療に用いられる分子標的薬や免疫治療薬などでも、眼の副作用が起こることが知られています。分子標的薬は特定の分子を標的として作用しますが、その分子ががん細胞だけでなく眼の細胞にも存在する場合、影響が現れる可能性があります。

抗がん剤が眼に影響を及ぼす頻度については、現時点では明確になっていません。ただし、特定の薬剤に限らず、どの抗がん剤でも起こる可能性があるとされています。治療開始後に眼の違和感を覚えた場合には、自己判断せず、早めに担当医へ相談することが大切です。

抗がん剤による眼症状

流涙(涙目)・涙道障害

流涙(涙目)は、涙が過剰に出て眼からあふれる状態を指します。涙道障害は、涙の通り道である涙道に異常が生じている状態です。

抗がん剤治療では、薬剤が涙の中に排出されることがあり、その成分によって涙道が刺激を受け、傷ついたり、狭くなったりすることがあります。その結果、涙がうまく流れなくなり、流涙や涙道障害が起こると考えられています。

通常、涙は眼の表面を潤したあと、涙道を通って鼻の方へ流れていきます。しかし、涙道に異常が生じると、涙が鼻へ抜けにくくなり、眼からこぼれ落ちる状態が続きます。

流涙・涙道障害の症状としては、涙目が続くほか、「見えづらい」「目がかすむ」と感じたり、涙をぬぐうために眼を何度もふいてしまったりすることが挙げられます。

ぶどう膜炎

ぶどう膜は、眼の中にある虹彩(こうさい)、毛様体(もうようたい)、脈絡膜(みゃくらくまく)からなる組織で、眼の中に栄養や酸素を届ける役割を担っています。

抗がん剤の影響によってこのぶどう膜に炎症が起こると、眼のかすみや視力低下、眼の痛み、充血などの症状が現れることがあります。また、飛蚊症(ひぶんしょう)を伴うこともあり、黒いススや蚊のようなものが視界に見えるのが特徴です。

黄斑浮腫

黄斑は、眼の奥にある網膜の中心部分で、色や形、大きさを識別するための重要な細胞が集まっています。そのため、この部分に異常が起こると、視力に影響が出やすくなります。

黄斑浮腫では、黄斑に水分がたまって腫れた状態となり、視力の低下がみられます。また、見ている景色がゆがんで見えたり、暗く感じられたりすることもあり、日常生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。

ドライアイ

抗がん剤の影響によって涙の分泌量が減ると、眼の表面が乾燥するドライアイが起こることがあります。涙には、眼の表面を覆って角膜を保護し、外部からの刺激や傷を防ぐ役割があります。そのため、涙の量が不足すると、角膜が傷つきやすくなります。

ドライアイの症状としては、眼の乾きを感じるだけでなく、眼の痛みやゴロゴロする違和感、赤みが出るほか、反射的に涙が出ることもあります。

視神経網膜炎

視神経網膜炎は、視神経と網膜の両方に炎症が生じ、視力の低下や視野の欠けといった異常が現れる病気です。

視神経は、眼の奥にある網膜に映った情報を脳へ伝える役割を担っています。この視神経は網膜とつながっているため、抗がん剤の影響などによって炎症が起こると、見え方に影響が及ぶことがあります。

球後視神経炎

球後視神経とは、眼球の奥にある視神経のことです。この球後視神経に炎症が起こると、視力が急激に低下することがあります。また、眼を動かしたときに痛みを感じたり、眼がかすむ、中心がぼやける、暗く見えるといった症状が現れることもあります。

結膜炎・角膜障害

結膜は、白目の表面からまぶたの裏側までをおおう粘膜で、ほこりや細菌、ウイルスなどから眼を守る組織です。一方、角膜は黒目の部分をおおう膜で、光を取り込んで網膜に届けるレンズの役割と、眼を保護する役割を担っています。

抗がん剤の影響によって、結膜に炎症が起こることや、角膜に異常が生じることがあります。結膜炎でみられる主な症状は、眼の赤み、目やに、流涙、眼がゴロゴロする感じなど。角膜障害では、眼の痛みや視力低下などの症状が現れます。

角膜びらん・角膜潰瘍

角膜びらんは、角膜の表面がただれている状態を指します。角膜潰瘍は、角膜びらんよりも傷が深く、角膜の内部にまで及んでいる状態です。いずれの場合も、眼の痛みや充血、まぶしさを感じるほか、視力低下を伴うことがあります。

白内障

水晶体は、カメラのレンズに例えられることの多い組織で、眼の中に入る光のピントを調整する役割を担っています。通常は透明な状態ですが、抗がん剤の副作用によって濁りが生じると、白内障と呼ばれる状態になります。

白内障では、視界がかすむ、物が二重に見える、光をまぶしく感じるといった見え方の変化がみられます。

飛蚊症

飛蚊症では、蚊や小さな糸くず、すすのような黒い点や影が視界に見えるのが特徴です。視線を動かすと、それらの影も一緒に動いて感じられます。抗がん剤の影響によって、眼の奥にあるゼリー状の硝子体が濁ると、このような飛蚊症の症状が現れることがあります。

網膜静脈閉塞

網膜静脈閉塞は、網膜の血管である静脈が詰まり、血液の流れが悪くなる病気です。抗がん剤治療との関連については、はっきりとした仕組みは分かっていませんが、血管や血流に影響を及ぼすことで、発症の一因になる可能性があると考えられています。

静脈が詰まって血流が滞ると、網膜に出血やむくみが生じやすくなります。その結果、眼のかすみや視力低下、物がゆがんで見えるといった見え方の変化が起こります。

まつ毛が伸びる(睫毛の長生化)・睫毛乱生

抗がん剤の影響によって、まつ毛が異常に長く伸びたり、不揃いに生えたりすることがあります。まつ毛が過度に長く伸びる状態は「睫毛の長生化」と呼ばれ、本来とは異なる方向に生え、不揃いになる状態は「睫毛乱生」といいます。

このような変化が起こると、まつ毛が眼の中に入り込みやすくなります。痛みや異物感の原因となるほか、角膜を傷つけて炎症を引き起こすおそれもあります。

そのほかの症状(羞明・変視症・小視症・複視・かすみ目など)

抗がん剤の影響によって、羞明(しゅうめい)や変視症、小視症、複視、かすみ目など、さまざまな見え方の異常がみられることがあります。

「羞明」は、通常の明るさの光でも強いまぶしさを感じる状態です。「変視症」では物がゆがんで見え、「小視症」では実際よりも小さく見えるようになります。また、1つのものが二重に見える状態を「複視」、視界が霧がかかったようにぼやけて見える状態を「かすみ目」と呼びます。

このような見え方の変化が気になる場合には、早めに医師へ相談することが大切です。

抗がん剤治療中の眼のケアや注意点

清潔を保つようにしましょう

眼に症状があると、気になって無意識のうちに手で触れたり、こすってしまったりすることがあります。ただ、こうした行為は眼への刺激となるだけでなく、感染症の原因になることもあります。

涙をふいたり眼に触れたりする前には、手を石けんと水で洗い、清潔な状態を保つことが大切です。また、使用するハンカチは清潔なものを選び、湿ってきた場合は早めに取り替えるようにしましょう。ハンカチの角や繊維によって眼を傷つけてしまうこともあるため、強くこすらず、やさしく扱うことも意識しておきたいポイントです。

目のまわりのメイクやコンタクトレンズの使用は控えましょう

眼に症状がある場合は、刺激を避けるため、目のまわりのメイクはなるべく控えましょう。ファンデーションについても、粉や油分が目に入らないよう注意が必要です。

また、コンタクトレンズは眼に直接触れるため、違和感がある時期には負担になりやすくなります。症状が落ち着くまでは、できるだけ眼鏡を使用したほうが安心です。

転倒や運転中の事故に注意しましょう

眼に症状があると、足元が見えにくくなったり、距離感がつかみにくくなったりすることがあります。その影響で、つまずきやすくなったり、運転中に周囲の状況を把握しづらくなったりする可能性があります。

段差の多い場所や足元の不安定な道では、いつも以上に注意して行動することが大切です。また、長時間や夜間の運転を控えたり、できる範囲で家族や周囲の人に付き添ってもらうとよいでしょう。

まとめ

抗がん剤の副作用としては、吐き気や食欲低下、倦怠感などがよく知られています。一方で、眼の症状は日常生活の中で見過ごされやすく、気づくのが遅れてしまうことも少なくありません。ただ、対応が遅れると、視力や眼の機能の回復に時間がかかる場合があります。

抗がん剤治療中に、視力の低下や視野の異常、眼の違和感などを感じたときは、自己判断せず、早めに担当医へ伝えることが大切です。

如月 真紀

<この記事を書いたのは・・・>

如月 真紀(きさらぎ まき)

医師、医学博士、総合内科専門医。都内の大学病院勤務を経て、現在はアメリカで研究中。医療関連の記事の執筆や監修、医療系動画監修、医療系コンテンツ制作など幅広く手がけている。研究の傍ら、医学の知識や医師の経験を活かし、患者や患者家族のためになるコンテンツ作成を目指している。

関連リンク

ANK療法について
リンパ球バンクに問合わせ

ANK免疫細胞療法が受けられる
クリニックはこちら

ANK免疫細胞療法を検討中の
医療従事者の方はこちら

ANK免疫細胞療法が
受けられる
クリニックはこちら

ANK免疫細胞療法を
検討中の
医療従事者の方はこちら