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胆道にできるがんの総称である「胆道がん」は、1年間におよそ14,500人が診断(※)されるがんです。こちらの記事では、胆道がんの特徴や治療などについての情報をまとめています。抗がん剤をやめたいと感じている方も、ぜひご覧ください。
※参照元:国立がん研究センター がん情報サービス https://ganjoho.jp/public/cancer/biliary_tract/patients.html
目次
胆道は、「胆管」「胆のう」「十二指腸乳頭」の3つの部分に分けられますが、「胆道がん」とは胆道にできるがんの総称であり、がんが発生した部位によって分けられています。
中でも胆管がんは、がんが発生する場所が肝臓の中の場合には「肝内胆管がん」、肝臓の外の場合には「肝外胆管がん」とされます。さらに、肝外胆管がんは「肝門部領域胆管がん」と「遠位胆管がん」に分けられています。
胆道がんの症状としては、黄疸や右脇腹の痛み、体重減少などが見られますが、初期には症状が見られないことも多くあるといわれています。さらにがんが発生した部位によって症状や症状が出るタイミングが異なりますので、気になる症状がある場合には内科や消化器科を受診してください。
また、胆道がんの病期は0〜Ⅳ期に分けられています。さらに、TNMの3つのカテゴリーによっても分類されていますが、下記のような分類となっています。
治療の方針を決めるためには、この病期を知ることが重要になってきます。胆道がんの場合には、「肝内胆管がん」「肝門部領域胆管がん」「遠位胆管がん」「胆のうがん」「十二指腸乳頭部がん」の5種類に分類されます。
【肝内胆管がんの病期分類】
I期 | がんの数は1個で、大きさは2cm以下かつ血管や主要胆管に及んでいない |
II期 | 以下のうち2つの項目に当てはまり、転移がない ・がんの数が1個 ・大きさが2cm以下 ・血管や主要胆管に及んでいない |
III期 | 以下のうち1つの項目に当てはまり、転移がない ・がんの数が1個 ・大きさが2cm以下 ・血管や主要胆管に及んでいない |
ⅣA期 | がんの数が2個以上で大きさが2cmを超えており、血管や主要胆管に及んでいるが転移はない もしくはリンパ節転移があり下記のうち1項目以上に当てはまる ・がんの数が1個 ・大きさが2cm以下 ・血管や主要胆管に及んでいない |
ⅣB期 | がんの数が2個以上で大きさが2cmを超えており、血管や主要胆管に及び、 かつリンパ節転移がある、もしくは遠隔転移がある |
※上記の分類は肝内胆管がんの3類型のうち「腫瘤形成型」に当てはまる
【肝門部領域胆管がんの病期分類】
領域リンパ節への転移 | がんができた場所から離れた臓器やリンパ節への転移がある(M1) | |||
なし (N0) | あり | |||
1〜3個(N1) | 4個以上(N2) | |||
上皮内がん(Tis) | 0 | - | - | - |
がんがあるのは胆管のみだが筋層や繊維組織まで広がっている(T1) | 1 | ⅢC | ⅣA | ⅣB |
胆管壁を超えて周囲の脂肪組織に及んでいるがん(T2a) | Ⅱ | |||
隣り合う肝実質に及んでいるがん(T2b) | ||||
門脈または冠動脈の片側の血管に及んでいるがん(T3) | Ⅲ | |||
さらに広い範囲の血管に及んでいるがん(T4) | Ⅳ |
【遠位胆管がんの病期分類】
領域リンパ節への転移 | がんができた場所から離れた臓器やリンパ節への転移がある(M1) | |||
なし (N0) | あり | |||
1〜3個(N1) | 4個以上(N2) | |||
上皮内がん(Tis) | 0 | - | - | - |
胆管壁に5mm未満の深さまで及ぶがん(T1) | 1 | ⅡA | ⅢA | Ⅳ |
胆管壁に5〜12mmまでの深さで及ぶがん(T2) | ⅡA | ⅡB | ||
胆管壁に深さ12mmを超える深さまで及ぶがん(T3) | ⅡB | |||
腹腔動脈などの動脈に及ぶがん(T4) | ⅢB |
【胆のうがんの病期分類】
領域リンパ節への転移 | がんができた場所から離れた臓器やリンパ節への転移がある(M1) | |||
なし (N0) | あり | |||
1〜3個(N1) | 4個以上(N2) | |||
上皮内がん(Tis) | 0 | - | - | - |
粘膜固有層に及ぶがん(T1a) | ⅠA | ⅢB | ⅣB | |
筋層に及ぶがん(T1b) | ⅠB | |||
腹腔側の筋層の周りの結合組織に及ぶが、肝臓には広がっていないがん(T2b) | ⅡA | |||
肝臓側の筋層の周りの結合組織に及ぶが、肝臓には広がっていないがん(T2b) | ⅡB | |||
漿膜を超えているがん、及び/または肝臓及び/または胃・十二指腸・結腸・膵臓・大網・肝外胆管に及んでいるがん(T3) | ⅢA | |||
門脈本幹もしくは冠動脈に及ぶがん または肝臓以外の2つ以上の臓器などに及ぶがん(T4) | ⅣA |
【十二指腸乳頭部がんの病期分類】
領域リンパ節への転移 | がんができた場所から離れた臓器やリンパ節への転移がある(M1) | |||
なし (N0) | あり | |||
1〜3個(N1) | 4個以上(N2) | |||
上皮内がん(Tis) | 0 | - | - | - |
十二指腸乳頭部またはオッディ括約筋のみにあるがん(T1a) | ⅠA | ⅢA | ⅢB | Ⅳ |
オッディ括約筋を超えて括約筋の周りに及ぶ、及び/または十二指腸粘膜下層に及ぶがん(T1b) | ⅠB | |||
十二指腸の固有筋層に及ぶがん(T1) | ⅡA | |||
膵臓に0.5cm以下で及ぶがん(T3a) | ⅡB | |||
膵臓に0.5cmを超えて及ぶがん、または膵臓の周囲の組織もしくは十二指腸漿膜に広がっているが、腹腔動脈などの動脈には及んでいないがん(T3b) | ||||
腹腔動脈などの動脈に及ぶがん(T4) | ⅢB |
※参照元:国立がん研究センター がん情報サービス https://ganjoho.jp/public/cancer/biliary_tract/treatment.html
胆道がんの治療の種類は、手術・薬物療法・放射線治療といった選択肢がありますが、がんを取り除くことを考えた場合には手術が有効と考えられています。
このことから、治療方針を考える際にはまず「手術ができるかどうか」という点について検討されます。その結果、手術が可能であれば手術を実施、手術ができない場合には、薬物療法を中心に治療を進めていくことになります。
また、がんの治療が妊娠・出産に影響する可能性もあるため、将来子どもを産むことを希望している場合には、妊孕性の温存が可能かどうかを担当医と相談してみてください。
胆道は、胆汁の通り道です。胆汁には食べ物を消化するはたらきがあり、肝臓で作られ、胆管を通って十二指腸へ分泌されます。
胆道にがんが発生すると、胆汁の流れがせき止められてしまいます。胆汁が流れにくくなると、白目や皮膚が黄色くなるような黄疸(おうだん)の症状が出るほか、手術や薬物療法などの治療を進められない可能性があります。
たまった胆汁を通すための処置を「胆道ドレナージ」といいます。胆道ドレナージには、外ろうと内ろうの2つの方法があります。
外ろうは、胆汁を鼻やお腹からチューブを使って身体の外に出し、ボトルやプラスチックバッグにためて回収する方法です。内ろうは、胆管にプラスチックや金属の管を置き、胆汁を腸の中に流す方法です。
胆道がんの広がりや大きさを考慮し、できるだけ完全にがんを取り切るための方法を検討します。しかし、ごく早期の胆道がん以外は、切除範囲が広くなることが多く、身体への負担が大きくなりやすい傾向があります。
胆道がんの手術が適応されるのは、身体が手術に耐えられる状態で、遠隔転移がない場合です。ただし、遠隔転移がなかったとしても、がんが発生している場所や周囲への広がりなどの状態によって、切除が難しいこともあります。
また、がんの位置と進行度によって手術の方法や切除する範囲が大きく異なるというのも、胆道がんの手術の特徴です。
広範囲の切除が必要になる場合は、術後の肝機能がどの程度保たれるか(肝予備能)が重要になります。十分な肝機能を保つのが難しい場合、手術を行わないほうが長生きできる可能性もあります。
肝臓は、自分側から見て右側の大きい部分を右葉(うよう)、左側の小さい部分を左葉(さよう)とよびます。
がんが、右葉か左葉のどちらかのみにある場合は、がんと周辺の肝臓の一部、または、がんのある側を手術で切除します。がんが大きく広がっている場合は、さらに大きく切除する「拡大肝葉切除術」を検討します。
胆管が肝臓の外へ出てくる場所を肝門とよびます。がんが肝門(かんもん)の近くにある場合には、肝臓の外の胆管、肝臓の下にある胆のう、周囲のリンパ節も同時に切除します。
胆管が肝臓の外へ出てくる場所を肝門とよびます。肝門部には、胆管だけでなく、門脈や肝動脈とよばれる重要な血管もあり、構造が複雑なため、肝門部領域に発生した胆管がんの手術は難しいといわれています。
手術では、胆管だけでなく、肝臓や胆のうなど周辺の臓器の一部、そしてリンパ節も切除します。切除後は、残した胆管と小腸の一部をつなぎ、臓器の機能を回復させるための手術を行います。
胆管は、場所によって肝門部胆管、遠位胆管のようによばれます。遠位胆管は膵臓を通っているので、遠位胆管がんは膵臓へ広がることがあります。
一般的に、遠位胆管がんの手術では、胆管と同時に膵臓や胆のう、十二指腸、胃・腸の一部なども切除します。切除後には、残した胆管や膵臓、胃を小腸とつなぎ、食物や消化液が小腸に流れるように手術を行います。
がんが胆のう内部にある場合には、胆のうを摘出する手術を行います。がんが、胆のうの周囲まで広がっている場合には、広がっている範囲に応じ、肝臓や胆のう、膵臓、大腸、十二指腸、リンパ節などを切除します。
胆管が十二指腸につながる十二指腸乳頭部に発生したがんを十二指腸乳頭部がんとよびます。十二指腸乳頭部がんの手術では、十二指腸、膵頭部、胆のう、胃、小腸、周辺のリンパ節などを切除します。
膵頭部は、十二指腸に接する膵臓の一部で、胆管が走っています。切除後には、残った胆管を小腸に、膵臓を小腸や胃などにつなぎ合わせる手術を行います。
手術でがんを切除することが難しい場合や再発がんの場合は、薬物療法を行います。薬物療法だけでがんを完全に治すことは難しいですが、がんの進行を抑え、生存期間を長くしたり、がんによる症状を和らげたりすることが可能です。
胆道がんの薬物療法で使用される主な薬剤は、ゲムシタビン、シスプラチン、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(TS-1:ティーエスワン)です。患者さんの状態を考慮し、1種類だけ使用する場合や組み合わせて使用する場合があります。
治療の効果がなくなったと考えられる、または副作用や全身状態の悪化により継続が難しいと判断されるまで、薬剤の投与が続きます。
手術を行い、目に見えるがんを切除したとしても、目に見えないほど小さながん細胞が残っていて、がんが再発する可能性があります。
手術で切除した面を調べた結果、がん細胞が残っていたり、リンパ節へのがんの転移を認めた場合には、手術後に放射線治療を行うことがあります。
また、遠隔転移はないものの、切除が難しい位置にがんがあったり、肝予備能が良くないと判断される場合は、積極的な手術は行えません。そのため、がんの進行を遅らせたり、がんによる痛みを和らげたりするなどの目的で放射線治療を行うケースがあります。
しかし、手術後の放射線治療の効果や手術困難ながんに対する治療効果は、現時点では十分に証明されていません。
治療方針を検討した結果手術が難しいとなった場合や、がんが再発したといった場合には、薬物療法を行います。薬物療法には化学療法や分子標的治療があります。
化学療法ではゲムシタビン、シスプラチン、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(TS1:ティーエスワン)が使用されていますが、ゲムシタビンとシスプラチンを併用する「GC療法」やゲムシタビンとテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤を併用する「GS療法」、ゲムシタビン、シスプラチン、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤を併用する「GCS療法」が標準治療として行われています。
ただし、化学療法においては副作用を伴います。副作用としては食欲不振や吐き気、だるさ、脱毛、白血球減少、貧血、血小板の減少などが挙げられます。また、他にもゲムシタビンによる間質性肺炎などそれぞれの薬特有の副作用が起きる場合もあります。
また、胆道がんでは特定の遺伝子異常を対象とした「FGFR阻害薬」「免疫チェックポイント阻害薬」「TRK阻害薬」などもあります。
分子標的薬は、たんぱく質などをターゲットとしてがん細胞を間接的に攻撃するという特徴がありますが、この分子標的薬と相性が良い、と考えられているのがANK免疫細胞療法です。これはNK細胞を活性化させることによってがん治療を行っていくという方法です。
このANK免疫細胞療法と分子標的薬を併用した場合には、分子標的薬で細胞の増殖を抑えた上で、ANK免疫療法によりがん細胞の退治を目指せると考えられることから、この2つの治療法の相性が良い、といわれているのです。
どんながんも治る魔法の薬はありません。
ゆえに、保険治療の抗がん剤だけでは緩和や延命が目的になることもありますが、ほかの治療と併用することで好転することもあります。できる治療すべてを試す覚悟が大事だということも覚えておきましょう。
治療のひとつの選択肢として挙げられるのが、ANK免疫細胞療法。がん退治の本命細胞である「NK細胞」を活性化させてがん治療を行っていく免疫療法のひとつです。
以下の動画で、ANK免疫細胞療法のしくみを詳しく紹介していますのでぜひご覧ください。
吐き気や嘔吐は、抗がん剤の投与後、数時間で起こるものと、翌日以降に起こるものがあります。症状は、すぐに落ち着く時もあれば、1週間程度続くケースもあります。
吐き気止めが処方されている場合は、指示通りに内服することで予防できる可能性があります。
嘔吐や吐き気が長く続いて水分を十分にとれないと、脱水になりかねないため注意が必要です。脱水の症状は、めまい、喉の渇き、尿量の減少、ふらつきなどがあります。これらの症状が出た場合や、食事や水分が十分にとれないことが続く場合は、医師や看護師に早めに相談しましょう。
抗がん剤の治療中に、血液を作り出す骨髄のはたらきが低下することがあります。骨髄のはたらきが低下することを「骨髄抑制」といいます。抗がん剤の治療開始後1~2週間に、骨髄への影響が強く出やすいといわれています。
骨髄抑制によって血液細胞である白血球が減少すると、感染症にかかりやすくなります。感染症を予防するために手洗い・うがいをこまめに行い、外出の際はマスクを着用するようにしましょう。また、人の多い場所に行くのは避ける、生ものは控えて火を通してから食べるようにする、などの対策も効果的です。
1日1回は体温を測るようにすると、感染の兆候に気付きやすくなります。37.5℃以上の発熱を認めたら、早めに医療機関を受診しましょう。発熱だけでなく、咳や痰、皮膚の腫れ、尿の混濁、排尿時の痛み、下痢など、感染を疑う症状がある場合には、医療機関に相談しましょう。
抗がん剤の治療中に、血液を作り出す骨髄のはたらきが低下すると赤血球が減少し、貧血の症状が出ることがあります。貧血になると、動悸やめまい、立ちくらみ、冷え、だるさ、息切れなどの症状が出ます。
めまいや立ちくらみが起きやすくなると、転倒・転落のリスクが高まります。また、貧血の程度が強い場合には、輸血が必要になるかもしれません。
抗がん剤の治療開始後1~2週間は骨髄への影響が強く出やすいので、特に注意が必要です。赤血球数が減っている時には、激しい運動は控えて身体を休ませるようにしましょう。
抗がん剤の治療中に、血液を作り出す骨髄のはたらきが低下して、血小板の数が少なくなることがあります。血小板には血液を固まりやすくする働きがあるので、血小板の数が少なくなると出血しやすく、また血も止まりにくくなります。そのため、ケガや転倒には注意しなくてはいけません。
また、身体を洗う時に強くこすると内出血が起きたり、トイレの後に強く拭くと肛門から出血したりすることも。また、歯茎からの出血も起きやすくなるため、歯磨きする際は、毛の柔らかい歯ブラシを使って、優しく磨くようにしましょう。
内出血や血便、血尿、鼻血などの症状を認めたら、早めに医療機関に相談しましょう。血小板数が少なく、出血傾向がある場合は輸血が必要になるケースもあります。
抗がん剤の副作用の1つに、腎障害があります。腎障害の初期症状は何もないことが多いですが、進行すると尿量減少や体重増加、むくみ、倦怠感などの症状が出ます。尿量減少、体重増加などの症状を認めた場合には、早めに医療機関に相談しましょう。
抗がん剤治療中は、腎障害を予防するために、たくさんの点滴を行います。尿量が増えるため、何度もトイレに行く必要がありますが、我慢せずに行くようにしましょう。また、自分自身でもなるべく水分をとるようにするのも、腎障害の予防に効果的です。いつもの水分量に追加で1日500~1000ml程度を目安にしましょう。吐き気や嘔吐、口内炎などでなかなか水分がとれないときは、医師に相談してください。
また、解熱鎮痛剤などの市販薬は、腎障害を悪化させる可能性があります。抗がん剤治療中に市販薬を服用したい際は、事前に医師に相談しましょう。
間質性肺炎とは、肺に炎症が生じて、機能が低下してしまう病気のことです。間質性肺炎の初期症状には、軽度の発熱や咳などが挙げられます。風邪の症状と似ているため見過ごされやすいものの、放置すると重症化してしまう可能性があります。
発生頻度は高くありませんが、さまざまな抗がん剤で起きる可能性がある副作用の1つのため、気になる症状が出たら早めに医師に相談しましょう。
また、喫煙は間質性肺炎の発症リスクを高める要因です。予防のために、禁煙を検討しましょう。