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口腔がんとは、口の中(口腔)に発症するがんの総称です。他のがんと同様に早期発見の場合は予後良好ですが、自覚症状がない場合が多いため、早期にがんに気づくことは容易ではありません。仮に治癒したとしても、口腔に重い機能障害が残ることがあります。
ここでは、口腔がんの特徴やステージ(病期)、治療方法、抗がん剤治療を辞めたいと思う理由、分子標的薬とANK免疫細胞療法との併用による期待などについて詳しく解説しています。
目次
口腔がんとは、口の中(口腔)に生じるがんの総称です。主に舌、上下の歯茎(歯肉)、頬の内側(頬粘膜)、上あご(硬口蓋)、舌の下側と歯茎の間(口腔底)、くちびる(口唇)などに生じるがんを指し、口腔がんと総称します。
口腔がんが発症すると、がんが生じた部位が赤く、または白く変色します。また、発症前とは形が違ってくることもあります。歯茎に生じたがんについては、歯を支える組織にがんが浸潤し、入れ歯が合わなくなったり歯がグラグラしたりすることもあります。
口腔がんの症状が進行すると、粘膜がただれたり痛みや出血が生じたり、口を空けにくくなったり食事を飲み込みにくくなったりなど、口の中に様々なトラブルが起こることがあります。
さらに症状が進行すると、たとえば舌がんの場合、リンパ節への転移等を経て遠くの臓器に転移することもあります。
以下、口腔がんのステージ(病期)を判断する基準として、舌がんを例に見てみましょう。 舌がんのステージ(病期)の分類には、通常、TNM法と呼ばれる基準が用いられます。TNM法とは、がんのステージ(病期)を「T分類」「N分類」「M分類」の3つの視点から判断する基準です。
舌がんにおいては、TNM法を基準に更に細かく症状の進展度を分類しています。
【舌がんの進展度(TNM分類)】
Tis | 上皮内がん |
T1 | がんの最大径が2cm以下で、深さが5mm以下である |
T2 | がんの最大径が2cm以下で、深さが5mmを超える、 またはがんの最大径が2cmを超えるが4cm以下で、深さが10mm以下である |
T3 | がんの最大径が2cmを超えるが4cm以下で、深さが10mmを超えている、 またはがんの最大径が4cmを超え、深さが10mm以下である |
T4a | がんの最大径が4cmを超え、深さが10mmを超える、またはがんが下あごもしくは上あごの骨を貫通するか上顎(じょうがく)洞(鼻腔周囲の骨の内部にある空洞の一つ)に広がっているまたはがんが顔の皮膚にまで広がっている |
T4b | がんが、噛むことに関連した筋肉と下あごの骨とそれらに関連する神経や血管が存在する領域/あごを動かす筋肉と頭蓋底がつながっている部分/頭蓋底にまで広がっている、 またはがんが内頚動脈の周りを囲んでいる |
N0 | リンパ節への転移がない |
N1 | がんと同じ側のリンパ節に3cm以下の転移が1個で、リンパ節の外にがんは広がっていない |
N2a | がんと同じ側のリンパ節に3cmを超えるが6cm以下の転移が1個で、リンパ節の外にがんは広がっていない |
N2b | がんと同じ側のリンパ節に6cm以下の転移が2個以上で、リンパ節の外にがんは広がっていない |
N2c | 両側またはがんのある側と反対側のリンパ節に6cm以下の転移があり、リンパ節の外にがんは広がっていない |
N3q | リンパ節に6cmを超える転移があり、リンパ節の外にがんは広がっていない |
N3b | リンパ節に1個以上の転移があり、リンパ節の外の組織にがんが広がっている |
M0 | 遠くの臓器への転移がない |
M1 | 遠くの臓器への転移がある |
※参照元:国立がん研究センター がん情報サービス https://ganjoho.jp/public/cancer/oral/index.html
※参照元:国立がん研究センター がん情報サービス https://ganjoho.jp/public/cancer/tongue/treatment.html
口腔がんの主な原因は、喫煙・飲酒・口腔内の不衛生・虫歯の放置・合わない入れ歯やかぶせ物などによる刺激・栄養不良などが挙げられます。
喫煙者は、非喫煙者に比べて口腔がんの発生率が約7倍も高く、死亡率に関しては約4倍も高いという報告もあります。
また、喫煙と同じように口腔がんのリスクになる要因として飲酒がよく知られています。特に、飲酒をしながら喫煙する人は要注意です。たばこに含まれている発がん物質がアルコールで溶けて口腔粘膜に作用するため、がんを発症するリスクがより高くなると考えられているからです。
進行した虫歯を放置したり、合わない入れ歯によって舌や頬が長い間傷ついていたり、口の中が歯垢や歯石で汚れていると口腔がんを発症しやすくなるといわれています。
口腔がんを発症するリスクを下げるために、タバコやお酒は控え、歯磨きやうがいによって口腔内を清潔に保つことが大切です。定期的に歯科医師の診察を受けるように心がけ、虫歯や合わない入れ歯などは放置しないようにしましょう。
口腔がんの検査方法には、視診・触診・病理検査・CT検査・MRI検査、PET-CT検査などがあります。
まず、視診で口の中に光を当てながら、舌や口の粘膜を観察し、がんが疑われる部分の色や形、大きさなどを見ます。触診では、がんが疑われる部分に触れて、がんの広がりや大きさを確認し、耳の下から首にかけてリンパ節の腫れがないかどうかも調べます。
視診や触診で口腔がんが疑われる場合は、診断を確定するために病理検査を行います。病理検査では、病変部分の組織や細胞を採取し、がん細胞の有無や種類を顕微鏡で確認します。
口腔がんと診断された場合は、がんの広がりや他臓器への転移の有無などを調べるために超音波検査やCT検査、MRI検査などの画像検査を行います。がんが全身に広がっているか確認するために、PET-CTという検査を行う場合もあります。
舌がんを例に、口腔がんの治療方法について見てみましょう。
舌がんは、標準治療に基づきながら、患者の年齢や体の状態、希望などを考慮して総合的に治療方法が検討されます。
基本的には手術療法が中心となりますが、ステージ(病期)がT1からT3の場合には組織内照射(放射線治療の一種)を行うこともあります。組織内照射でもがんを取り除くことができなかった場合には、手術が選択されます。
手術後は、薬物療法と放射線治療を組み合わせた術後補助療法を行うことがあります。
また、がんの治療が妊娠・出産に影響する可能性もありますので、将来子どもを産むことを希望している場合には、妊孕性の温存が可能かどうかを担当医と相談してみてください。
※参照元:国立がん研究センター がん情報サービス https://ganjoho.jp/public/cancer/tongue/treatment.html
手術でがんを取り除けなかった場合、または、取り除けたとしても再発リスクが高いと判断された場合には、薬物療法(抗がん剤の投与)や放射線治療が行われます。
しかしながら、特に薬物治療については、吐き気や嘔吐、食欲不振、脱毛、全身倦怠感、ほてり、難聴など、患者はさまざまな副作用を経験することがあります。副作用の程度には個人差がありますが、特に強く副作用が現れた患者の中には、副作用の苦痛から解放されたいという思いから抗がん剤治療を辞めたいと思う方もいます。
副作用を抑えながらがん細胞のみに作用する点で注目されている分子標的薬ですが、分子標的薬の働きは、あくまでも特定の分子に作用させてがん細胞を間接的に攻撃することにあります。直接的にがん細胞に攻撃するわけではありません。
そこで、別の視点から注目されている治療法がANK免疫細胞療法。がんの種類を問わず、がん細胞のみを直接的かつ強力に攻撃する治療法で、分子標的薬との相性も良いとされています。
口腔がんを含むがん治療において、分子標的薬とANK免疫細胞療法の併用による相乗効果が期待されています。
どんながんも治る魔法の薬はありません。
ゆえに、保険治療の抗がん剤だけでは緩和や延命が目的になることもありますが、ほかの治療と併用することで好転することもあります。できる治療すべてを試す覚悟が大事だということも覚えておきましょう。
治療のひとつの選択肢として挙げられるのが、ANK免疫細胞療法。がん退治の本命細胞である「NK細胞」を活性化させてがん治療を行っていく免疫療法のひとつです。
以下の動画で、ANK免疫細胞療法のしくみを詳しく紹介していますのでぜひご覧ください。
抗がん剤の治療をしていると、食欲が減ることがあります。食欲不振時は、無理をせず、食べられるときに食べたいものを食べるようにしましょう。食べやすい味付けの食べ物を探したり、少なめの量を数回に分けて食べたりと工夫してみるとよいかもしれません。
食欲不振が続く場合は、足りない栄養素を補うために栄養補助食品の利用を検討するのも1つの方法です。また脱水にならないように水分はこまめにとるようにしましょう。
食欲不振のため、食事や水分がまったくとれない場合は、早めに医療機関に相談しましょう。
吐き気や嘔吐は、抗がん剤の投与後、数時間で起こる場合や翌日以降に起こる場合があります。症状は、すぐに落ち着くときもあれば、1週間程度続くこともあります。
吐き気や嘔吐に対して薬が処方されている場合には、指示通りに内服することで予防できる可能性があります。吐き気が強い場には、事前に吐き気止めの点滴を行う場合もあります。
嘔吐や吐き気が長く続いて水分を十分にとれないと、脱水になるので注意が必要です。脱水の症状は、めまい・喉の渇き・尿量の減少・ふらつきなどです。
吐き気や嘔吐が続く場合や、食事や水分が十分にとれないことが続く場合は、早めに医療機関に相談しましょう。
熱や痛みで体力が奪われたり、抗がん剤の副作用による嘔吐や下痢などによって十分な栄養や水分がとれずに脱水や貧血になると、倦怠感が生じやすくなります。また、精神的なストレスも倦怠感の原因になります。
倦怠感は、抗がん剤の治療をしている患者さんの多くが経験する症状です。具体的な症状にはだるい、疲れやすい、脱力感、やる気が出ない、などが挙げられます。
倦怠感によって食事が十分にとれないときは、水分補給をこまめにしたり、食べやすいものを食べたいときに食べるようにするとよいでしょう。たとえば、つまみやすいおにぎり、のどごしのよいゼリーなどは倦怠感があるときでも食べやすいかもしれません。
強い倦怠感が続いて、食事や水分を十分にとれないときは早めに医療機関に相談しましょう。
抗がん剤による脱毛は、治療後2~3週間で起こる可能性があります。
髪の毛だけでなく、まつげやまゆげといった体毛も抜けることもありますが、抗がん剤の副作用で脱毛したとしても、治療終了後数か月で再び毛が生え始め、約2年で元に戻るといわれています。
帽子やバンダナ、医療用のかつらなどを利用して外見の変化をカバーする工夫をすると、脱毛による喪失感を軽減できるかもしれません。
脱毛の予防法は残念ながら確立されていませんが、頭皮の清潔や負担の軽減を心がけるとよいといわれています。
洗髪するときは刺激の少ないシャンプーなどを使用し、頭皮を傷つけないように爪を短く切っておきましょう。ドライヤー使用時は低い温度に設定し、パーマやカラーリング、育毛剤などの使用は避けるのが無難です。
脱毛した所に痛みを伴う場合は、早めに医療機関に相談しましょう。
抗がん剤の治療中に、白血球を作っている骨髄のはたらきが低下することがあります。骨髄のはたらきが低下することを「骨髄抑制」といいます。
抗がん剤の治療開始後1~2週間は、白血球が減少するピークなので、感染に最も注意すべき時期といわれています。感染症を予防するためには手洗い、うがい、マスク着用が大切です。また、人の多い場所を避けたり、生ものを控えて火を通してから食べるようにしたほうがよいといわれています。
1日1回は体温を測るようにすると、感染の兆候に早く気付けるでしょう。37.5℃以上の発熱を認めたら、早めに医療機関に相談してください。発熱だけでなく、咳や痰、皮膚の腫れ、尿の混濁、排尿時の痛み、下痢などの感染を疑う症状がある場合は、医療機関に相談しましょう。
抗がん剤の治療中に、血液を作り出す骨髄のはたらきが低下すると赤血球が減少し、貧血の症状が出ることがあります。貧血になると、動悸、めまい、立ちくらみ、冷え、だるさ、息切れなどの症状が出ます。
抗がん剤の治療開始後1~2週間は、骨髄への影響が強く出る時期なので特に注意が必要です。赤血球数が減っているときは、激しい運動は控えて身体を休ませるようにしましょう。
また、貧血による症状でめまい、立ちくらみが出て、転倒や転落の恐れがあるので注意が必要です。貧血の程度が強い場合には、輸血を行う場合もあります。めまいや立ちくらみなどの症状を認めたら、早めに医療機関に相談しましょう。
食事では、赤血球の材料となるタンパク質、鉄分、ビタミン類などを豊富に含む食材を積極的に摂るのがおすすめです。タンパク質は、肉、魚、卵、大豆製品などに含まれています。鉄分は、レバーや牛ヒレ肉、鶏もも肉、まぐろ、納豆、小松菜などに多く含まれています。
抗がん剤による治療を開始してから数日のあいだは、特に腎障害が起こりやすいといわれています。腎障害の初期症状は何もないことが多いですが、進行すると尿量減少や体重増加、むくみ、倦怠感などの症状が出ます。
腎臓を保護するためには、なるべく水分をとるようにしたほうがよいといわれています。目安としては、いつもの水分量に加えて1日500~1000mlくらいとるようにしましょう。また腎障害の予防のために、抗がん剤の治療中にはたくさんの点滴を行います。たくさん点滴をすると、尿量が増えますが、我慢せずにトイレに行くようにしましょう。
解熱鎮痛剤などのような市販薬の中には、腎障害を悪化させる可能性のあるものが含まれているので内服する前に医師に相談するようにしましょう。
尿量減少、体重増加などの症状を認めた場合は、早めに医療機関に相談してください。
抗がん剤を初回投与後、または数回投与後に難聴が起こる可能性があります。発症時期はさまざまですが、一般的に抗がん剤の使用量が増えるほど、症状が出現しやすくなるといわれています。
難聴・聴覚障害の症状として、高音領域の音が聞こえづらくなる、耳鳴りや耳の閉塞感が生じます。高音領域は日常生活では使用頻度が高くないといわれているので、耳鳴りや耳の閉塞感などの症状に注意しておくと、早めに難聴に気付くことができるかもしれません。
自然回復する場合もありますが、再投与によって悪化し、徐々に回復しづらくなる可能性があります。治療としては、副腎皮質ステロイドホルモンやビタミン剤が使用されることがありますが、残念ながら現時点では特効薬はありません。早めに気づいて対処することで悪化を防げるので、異変を感じたらすぐに医療機関に相談しましょう。
高い音が聞こえづらい、耳鳴りがするなどの症状を認めた場合には、早めに医療機関に相談しましょう。