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ベクティビックス

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ベクティビックスは、治療切除不能な進行・再発の結腸がんや直腸がんに対する治療薬として使われます。ここでは、ベクティビックスの作用や特徴、効果、副作用、注意点などについて説明します。ただし、他の治療薬と同じように、ベクティビックスの効果や副作用は個人によって異なることも理解しておいてください。

ベクティビックスとは

ベクティビックスは「抗EGFRモノクローナル抗体製剤」であり、がん細胞にあるEGFR(上皮細胞増殖因子受容体)を抑えることによってがん細胞が増えるスイッチを止めてがん細胞の増殖を抑制する働きを持っています。

EGFR(上皮細胞増殖因子受容体)とは、細胞の表面に並んでいるタンパク質のことで、このタンパク質は細胞が増殖する際のスイッチの役割を持っています。がん細胞は多くのEGFRを持っているケースがあり、がん細胞が増殖するような信号が送られ続けます。この点から、EGFRの阻害によって、がん細胞の増殖抑制につなげていくことができます。

医薬品情報

ベクティビックスの作用と特徴

ベクティビックスは、治療切除不能な進行・再発の結腸がんや直腸がんに使用される薬です。がん細胞に存在する上皮成長因子受容体(EGFR)にベクティビックスが作用し、がん細胞の増殖を抑えます。

ベクティビックスの効果・効能

ベクティビックスは、KRAS遺伝子野生型の治療切除不能な進行・再発の結腸がんや直腸がんに対して効果を期待できます。

KRAS遺伝子とは、がん遺伝子の1つで、がん細胞の増殖に関わっています。膵がん、大腸がん、肺がん、子宮がんなど多くのがん患者さんにおいて、KRAS遺伝子の変化を確認できます。KRAS遺伝子に変化があると、ベクティビックスのようなEGFRに作用する薬が効かない可能性があることがわかっています。「KRAS遺伝子野生型のがん」とは、KRAS遺伝子に変化がないため、ベクティビックスのようなEGFRに作用する薬の効果を期待できることを意味します。

ベクティビックスの有効成分

ベクティビックスの有効成分であるパニツムマブが上皮成長因子受容体(EGFR)に作用し、がん細胞が増えることを防ぎます。EGFRは、がん細胞の表面に並んでいるタンパク質で、細胞が増えるために必要な信号を伝える役割があります。

ベクティビックスの用法・用量

ベクティビックスは、2週間に1回、1回6mg/kg(体重)を60分以上かけて点滴静注します。 患者さんの状態を考慮し、投与量は適宜調整されます。

ベクティビックスの注意点

ベクティビックスの服用に関して、基本的な注意点がいくつかあります。

ベクティビックスを投与できない方

ベクティビックスに含まれる成分に対して、重度の過敏症が起こったことがある方の場合には、投与ができません。

そのほか、ベクティビックスを使用する際に注意が必要なケースとしては、間質性肺炎、肺線維症の患者又はその既往歴のある患者の場合が挙げられます。この場合、間質性肺疾患が増悪する恐れがあるために注意する必要があります。

また、妊娠する可能性のある女性については、ベクティビックスを投与している間、または投与が終了した後も最低6ヶ月間は適切な避妊方法を用いることが必要になります。加えて、妊婦または妊娠している女性に対しては、治療による有益性が危険性を上回ると判断した場合にのみ投与を行えます。さらに、授乳中の方については、治療の有益性および母乳栄養の有益性を考慮した上で、授乳の継続または中止の検討を行う必要があります。

また、小児については臨床試験が実施されていないこと、高齢者については患者の状態を観察しながらの投与が必要になる点も注意が必要です。

インフュージョンリアクション(輸注反応)

インフュージョンリアクションは、ベクティビックスのような分子標的薬の点滴時に見られる副作用のことです。なぜ起こるのかは明らかになっていませんが、がん細胞が薬の作用で急速に壊され、炎症やアレルギー反応を引き起こす物質が放出されるからではないかといわれています。インフュージョンリアクションは、ベクティビックスの投与中または投与後数時間で起こり、発熱、めまい、呼吸困難、頭痛、発疹、かゆみ、寒気などです。

低マグネシウム血症

血液中には、ナトリウムやカリウム、マグネシウムなどの電解質が含まれており、心臓の動きや神経の伝達などに関わっています。ベクティビックスの治療中に、血液中のマグネシウムの濃度が低下することがあるので注意が必要です。低マグネシウム血症になると、倦怠感、けいれん、食欲不振、脱力などの症状が出ます。

効能または効果に関連する注意

術後補助化学療法においては、ベクティビックスの有効性は確立されていません。術後補助化学療法とは、手術の後に身体の中に残っているがん細胞に対して薬を使用し死滅させることで、再発を抑える治療法です。

用法及び用量に関連する注意

ベクティビックスを投与中に、重度のインフュージョンリアクションや皮膚障害などの副作用が起きた場合には、休薬、減量または中止を検討します。

ベクティビックスの副作用

ベクティビックスの治療中に副作用が出ることがあるので、体調に変化があった時にはすぐに担当医に相談するようにしましょう。副作用によっては、服用を中止する必要があります。

ベクティビックスの服用中に見られる可能性のある副作用には、以下のようなものが挙げられます。

今回挙げた症状以外でも、ベクティビックスによる副作用の場合もあるので心配なことがあれば担当医に聞いてみるようにしてください。

ベクティビックスの重大な副作用

ベクティビックスの服用中に、重大な副作用が起こることがあります。適切に対処しないと命に関わる場合もあるので注意が必要です。ベクティビックスを服用中に、体調に変化があった時にはすぐに担当医に相談するようにしてください。

重度の皮膚障害

ベクティビックスで治療中に、ニキビのような発疹や皮膚の乾燥、炎症などの皮膚障害が起こることがあります。皮膚の症状は、ベクティビックスを投与後1週間程度で発現することが多く、顔や胸、背中、腕などに出やすいといわれています。基本的にスキンケアや症状に対する薬で対応しますが、重度の皮膚障害を認めた場合には、ベクティビックスを中止します。

間質性肺炎

ベクティビックスで治療中に、間質性肺炎が起こる場合があります。間質性肺炎の症状は、発熱、咳、呼吸困難などで、命に関わることもあるので注意が必要です。ベクティビックスを使用中に間質性肺炎の発症を認めた場合には、すぐに使用を中止し、ステロイドの投与などを行います。

重度の下痢

下痢が続くと脱水症状となり、腎機能に異常が起こる場合があります。重度の下痢が起こった場合には、下痢を止める薬の服用や補液などの適切な処置を行う必要があります。

粘膜炎(口内炎)

ベクティビックスの投与を行った場合に、頬の内側の粘膜や歯ぐきなどに粘膜炎(口内炎)が生じるケースがあります。この場合、口の中や歯肉、咽頭がしみてしまう、ヒリヒリする、赤くなるなどの症状が見られます。場合によっては粘膜炎(口内炎)ができてしまった部分が痛すぎて食事を摂ることができなかったり、食事量が低下したりするケースもあるかもしれません。もし、粘膜炎(口内炎)があまりにも痛くて食事ができない場合には、担当医に相談をしてみましょう。また、普段からこまめにうがいや歯磨きを行うことを心がけるなどして、口の中を清潔に保つことが大切です。

電解質異常

ベクティビックスによる治療を行うことによって体内の電解質のバランスが崩れてしまうことがあり、低マグネシウム血症が見られるケースもあります。

低マグネシウム血症が現れた場合には、QT延長(心電図異常)やけいれん、しびれ、全身倦怠感などを伴うケースがありますので、治療を進めていく中でこのような症状が現れていないかどうか十分に注意する必要があります。また、低マグネシウム血症に起因する低カルシウム血症や低カリウム血症などの電解質異常が見られる場合には、症状が重くなることがあるため注意が必要です。

定期的な血液検査を実施することによって状況を確認していきますが、もし電解質異常が見られる場合には、必要に応じて電解質の補給などの処置が行われます。

心臓障害

冠動脈疾患やうっ血性心不全、および不整脈などの心血管系有害事象についても十分に観察を行います。もし重度の症状が見られる場合には、薬剤の休薬や中止も含め、適切な処置を行う必要があります。

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