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ベクティビックスは、治療切除不能な進行・再発の結腸がんや直腸がんに対する治療薬として使われます。ここでは、ベクティビックスの作用や特徴、効果、副作用、注意点などについて説明します。ただし、他の治療薬と同じように、ベクティビックスの効果や副作用は個人によって異なることも理解しておいてください。
ベクティビックスは、治療切除不能な進行・再発の結腸がんや直腸がんに使用される薬です。がん細胞に存在する上皮成長因子受容体(EGFR)にベクティビックスが作用し、がん細胞の増殖を抑えます。
ベクティビックスは、KRAS遺伝子野生型の治療切除不能な進行・再発の結腸がんや直腸がんに対して効果を期待できます。
KRAS遺伝子とは、がん遺伝子の1つで、がん細胞の増殖に関わっています。膵がん、大腸がん、肺がん、子宮がんなど多くのがん患者さんにおいて、KRAS遺伝子の変化を確認できます。KRAS遺伝子に変化があると、ベクティビックスのようなEGFRに作用する薬が効かない可能性があることがわかっています。「KRAS遺伝子野生型のがん」とは、KRAS遺伝子に変化がないため、ベクティビックスのようなEGFRに作用する薬の効果を期待できることを意味します。
ベクティビックスの有効成分であるパニツムマブが上皮成長因子受容体(EGFR)に作用し、がん細胞が増えることを防ぎます。EGFRは、がん細胞の表面に並んでいるタンパク質で、細胞が増えるために必要な信号を伝える役割があります。
ベクティビックスは、2週間に1回、1回6mg/kg(体重)を60分以上かけて点滴静注します。 患者さんの状態を考慮し、投与量は適宜調整されます。
ベクティビックスの服用に関して、基本的な注意点がいくつかあります。
インフュージョンリアクションは、ベクティビックスのような分子標的薬の点滴時に見られる副作用のことです。なぜ起こるのかは明らかになっていませんが、がん細胞が薬の作用で急速に壊され、炎症やアレルギー反応を引き起こす物質が放出されるからではないかといわれています。インフュージョンリアクションは、ベクティビックスの投与中または投与後数時間で起こり、発熱、めまい、呼吸困難、頭痛、発疹、かゆみ、寒気などです。
血液中には、ナトリウムやカリウム、マグネシウムなどの電解質が含まれており、心臓の動きや神経の伝達などに関わっています。ベクティビックスの治療中に、血液中のマグネシウムの濃度が低下することがあるので注意が必要です。低マグネシウム血症になると、倦怠感、けいれん、食欲不振、脱力などの症状が出ます。
術後補助化学療法においては、ベクティビックスの有効性は確立されていません。術後補助化学療法とは、手術の後に身体の中に残っているがん細胞に対して薬を使用し死滅させることで、再発を抑える治療法です。
ベクティビックスを投与中に、重度のインフュージョンリアクションや皮膚障害などの副作用が起きた場合には、休薬、減量または中止を検討します。
ベクティビックスの治療中に副作用が出ることがあるので、体調に変化があった時にはすぐに担当医に相談するようにしましょう。副作用によっては、服用を中止する必要があります。
ベクティビックスの服用中に見られる可能性のある副作用には、以下のようなものが挙げられます。
今回挙げた症状以外でも、ベクティビックスによる副作用の場合もあるので心配なことがあれば担当医に聞いてみるようにしてください。
ベクティビックスの服用中に、重大な副作用が起こることがあります。適切に対処しないと命に関わる場合もあるので注意が必要です。ベクティビックスを服用中に、体調に変化があった時にはすぐに担当医に相談するようにしてください。
ベクティビックスで治療中に、ニキビのような発疹や皮膚の乾燥、炎症などの皮膚障害が起こることがあります。皮膚の症状は、ベクティビックスを投与後1週間程度で発現することが多く、顔や胸、背中、腕などに出やすいといわれています。基本的にスキンケアや症状に対する薬で対応しますが、重度の皮膚障害を認めた場合には、ベクティビックスを中止します。
ベクティビックスで治療中に、間質性肺炎が起こる場合があります。間質性肺炎の症状は、発熱、咳、呼吸困難などで、命に関わることもあるので注意が必要です。ベクティビックスを使用中に間質性肺炎の発症を認めた場合には、すぐに使用を中止し、ステロイドの投与などを行います。
下痢が続くと脱水症状となり、腎機能に異常が起こる場合があります。重度の下痢が起こった場合には、下痢を止める薬の服用や補液などの適切な処置を行う必要があります。