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ステージ0・ステージ1のがんとは

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がんの進行度を示す指標として「ステージ」があります。がんが進むにつれてステージの数値が上がっていきます。今回は、初期段階のがんとされるステージ0・ステージ1について、その特徴や治療法を詳しくご説明します。

がんのステージ(病期)とは

がんと診断された場合、まずは進行度を確認するためにCT検査やMRI検査などを行います。これらの検査結果から、主に以下の3つの要素を見てステージを判断します。

ステージは0から4までの5段階に分類され、数字が大きくなるほど進行していることを示します。ステージ0は初期がん、ステージ4は広範囲に転移が見られる進行がんを意味します。

このステージによって治療方法や今後の方針が変わってくるため、正確な把握が重要です。

また、がんの進行に伴いステージが変化する可能性もあるため、定期的な検査で状態を確認していきます。

ステージ0・ステージ1のがんについて

初期段階であるステージ0・ステージ1のがんには、以下のような特徴があります。

この段階のがんは一般的に生存率が高く、体への負担が少ない治療法を選択できる可能性があります。医療技術の進歩により、完治が期待できるケースも増えているため、早期発見がとても重要になります。

標準治療とANK免疫細胞療法の併用効果

前述の通り、ステージ0・ステージ1のがんは一般的に生存率が高く、体の負担が少ない治療法を選択できる可能性が高いです。医療技術の進歩により、完治が期待できるケースも増えています。しかし、手術では取り切れない、腫瘍マーカーにも反応せず、画像診断で見えないような小さながんが残っているケースもあります。

通常でしたら、がん化する前のごく小さながん細胞はNK細胞によって退治されますが、がん患者さんの身体は、がん細胞の増殖を許してしまうほどNK細胞の活性度が下がっています。手術や抗がん剤治療を行なっても、NK細胞は活性化しません。

そこで、患者さん自身のNK細胞を増殖・活性化させる「ANK免疫細胞療法」を行なえば、活性度が上がってがん細胞を叩くことができるのです。ANK免疫細胞療法は早いに越したことはありません。運よく早期発見ができたのであれば、1日でも早い治療の検討が望まれます。

各種がんのステージ0・ステージ1について

ステージ0・ステージ1の大腸がん

ステージ0の大腸がんは、がんが大腸の粘膜内に留まっている状態です。がん細胞は粘膜の中にとどまっており、周りの組織への広がりは見られません。一方、ステージ1では、がんが粘膜の下の層を超えて筋肉の層までに達していますが、それより深い層には及んでいない状態です。この段階での治療成績は非常に良好で、ステージ1における5年相対生存率は92.3%と高い数値を示しています。

大腸がんの初期段階では、便の色や形状の変化、便秘と下痢を繰り返す、血便が出る、お腹に不快感や痛みを感じるといった症状が現れることがあります。ただし、これらの症状は初期の段階ではあまりはっきりせず、多くの場合はほとんど気付かないことが特徴です。そのため、定期的な検診による早期発見が大切です。

▼大腸がんの5年相対生存率

ステージ5年相対生存率
(2014-2015年)
ステージ192.3%
ステージ285.5%
ステージ375.5%
ステージ418.3%

出典:国立がん研究センターがん情報サービス|院内がん登録生存率集計結果閲覧システム 大腸がん5年生存率

ステージ0・ステージ1の大腸がんの治療法

初期の大腸がんに対する治療法は、主に内視鏡治療と手術の2つがあります。内視鏡治療には、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)、内視鏡的粘膜切除術(EMR)、内視鏡的ポリープ切除術などがあります。

ESDは、がんのある部分を特殊な液体で膨らませてから、高周波ナイフで切除する方法です。EMRでは、ワイヤーを使ってがんを切除します。これらの内視鏡治療は、手術と比べて体への負担が少なく、入院期間が短く、回復も早いのがメリットです。

ただし、がんが粘膜の下の層に深く入り込んでいる場合や、内視鏡治療では完全な切除が難しいと判断された場合には手術を行います。手術では、がんのある部分の腸を切除し、残った腸をつなぎ合わせます。最近では腹腔鏡を使用した手術も増えており、従来の開腹手術と比べて傷が小さく、回復が早いという特徴があります。

ステージ0・ステージ1の肺がん

ステージ0の肺がんは、リンパ節への広がりがなく、がんが粘膜内に留まっている状態です。ステージ1も同様にリンパ節への広がりはなく、がんが筋肉の層までに留まっている状態です。この段階での治療成績は比較的良好で、ステージ1での5年相対生存率は81.5%となっています。早期の段階で見つかれば、治療による完治も十分期待できるでしょう。

肺がんの初期段階では、咳や痰、発熱、息苦しさ、胸の痛みなどの症状が現れることがあります。しかし、ステージ0や1では、がんが肺の中の限られた範囲にとどまっているため、ほとんど症状が現れないことが多いのが特徴です。多くの場合、健康診断やレントゲン写真、CTなどの検査で偶然見つかることが少なくありません。

▼肺がん(全体)の5年相対生存率

ステージ5年相対生存率
(2014-2015年)
ステージ181.5%
ステージ251.0%
ステージ328.6%
ステージ48.0%

出典:国立がん研究センターがん情報サービス|院内がん登録生存率集計結果閲覧システム 肺がん(全体)5年生存率

ステージ0・ステージ1の肺がんの治療法

初期の肺がんに対する治療法は、手術と放射線治療が主な選択肢です。手術には、胸腔鏡下手術、ロボット支援手術、開胸手術があり、特に胸腔鏡下手術やロボット支援手術は、従来の開胸手術と比べて傷が小さく、回復も早いという利点があります。胸腔鏡下手術では、カメラを胸に入れて、モニターで確認しながら手術を行います。

一方、体力に不安がある方や、他の病気のために手術が難しい場合、あるいは手術を希望されない場合には、肺定位放射線治療(SBRT)という方法を選ぶこともあります。この治療は約1週間(4~5回)で終わり、1回あたり40~60分程度です。また、数ミリ程度の非常に小さな早期肺がんの場合は、定期的なCT検査で経過を見ていく方法を選ぶこともあります。

ステージ0・ステージ1の胃がん

ステージ0の胃がんは、がんが胃の粘膜内に留まり、リンパ節への広がりがない状態です。ステージ1は、がんの場所とリンパ節への広がりの有無によって、1Aと1Bの2つに分けられます。治療成績は良好で、ステージ1での5年相対生存率は92.8%と高く、適切な治療により完治が期待できます。

胃がんの初期症状としては、胃やみぞおち周辺の痛み、不快感、違和感、胸やけ、吐き気、食欲不振、お腹の張り、げっぷなどが挙げられます。しかし、早期の胃がんでは自覚症状がほとんどないことが多く、胃がん検診や他の病気の検査で偶然見つかることがほとんどです。

▼胃がんの5年相対生存率

ステージ5年相対生存率
(2014-2015年)
ステージ192.8%
ステージ267.2%
ステージ341.3%
ステージ46.3%

出典:国立がん研究センターがん情報サービス|院内がん登録生存率集計結果閲覧システム 胃がん5年生存率

ステージ0・ステージ1の胃がんの治療法

初期の胃がんでは、がんを適切に切除することで完治する可能性が高いとされています。治療法としては、内視鏡治療、腹腔鏡下手術、ロボット支援手術などが選択肢となります。

内視鏡治療には内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)や内視鏡的粘膜切除術(EMR)があり、早期胃がんの場合には、これらの体への負担が少ない治療法が選ばれることが多いです。

腹腔鏡下胃切除術では、お腹に数か所の小さな穴を開け、カメラを入れてモニターで確認しながら手術を行います。従来の開腹手術と比べて傷が小さいため、術後の痛みが少なく、回復も早いという利点があります。さらに最近では、より繊細な手術が可能なロボット支援手術も広く行われるようになってきています。

ステージ0・ステージ1の乳がん

ステージ0の乳がんは、がんが乳管の中に留まり、リンパ節への広がりがない状態です。しこりの大きさが2cm以下でリンパ節への広がりがない場合はステージ1に分類されます。この段階での治療成績は非常に良好で、ステージ1での5年相対生存率は98.9%と高く、適切な治療により完治が強く期待できます。

乳がんの初期症状としては、しこり、乳房のくぼみ、左右で形が違う、乳頭や乳輪からの分泌物、乳房の皮膚のひきつれなどが見られます。ただし、早期の段階では症状がはっきりしないことも多いため、定期的な自己検診や乳がん検診による早期発見が大切です。

▼乳がんの5年相対生存率

ステージ5年相対生存率
(2014-2015年)
ステージ198.9%
ステージ294.6%
ステージ380.6%
ステージ439.8%

出典:国立がん研究センターがん情報サービス|院内がん登録生存率集計結果閲覧システム 乳がん5年生存率

ステージ0・ステージ1の乳がんの治療法

初期の乳がんの治療では、手術、薬物療法、放射線療法などを組み合わせて行います。手術には乳房の一部を切除する方法と、全体を切除する方法があり、がんの広がり具合に応じて選びます。

乳房の一部を切除する手術では、乳房の形を保つことができますが、再発のリスクもあります。そのため、部分切除を選択した場合は、術後に放射線療法を併用することが多いです。

また、手術の前に薬物療法を行い、がんを小さくしてから手術を行う場合もあります。乳房全体を切除する手術を選んだ場合でも、希望に応じて人工物や自分の組織を使って新しい乳房を作る手術を行うことが可能です。このように、乳がんの治療では患者さんの希望や生活の質も考慮しながら、最適な治療法を選んでいきます。

ステージ0・ステージ1の前立腺がん

ステージ0の前立腺がんは、がんが粘膜内に留まり、リンパ節への広がりがない状態です。触診や画像検査でがんがはっきりと確認できない、あるいはがんが前立腺の左右どちらか片側の1/2以内に留まる場合はステージ1となります。このステージでの治療成績は非常に良好で、ステージ1・ステージ2での5年相対生存率は100%です。

前立腺がんの症状としては、排尿が難しい、頻繁にトイレに行く、腰が痛む、血尿が出る、排尿時に痛みがあるなどが挙げられます。しかし、早期の段階ではほとんど自覚症状がありません。そのため、定期的な検診やPSA検査による早期発見が推奨されています。

▼前立腺がんの5年相対生存率

ステージ5年相対生存率
(2014-2015年)
ステージ1100.0%
ステージ2100.0%
ステージ398.5%
ステージ460.1%

出典:国立がん研究センターがん情報サービス|院内がん登録生存率集計結果閲覧システム 前立腺がん5年生存率

ステージ0・ステージ1の前立腺がんの治療法

初期の前立腺がんの治療法には、手術療法、放射線療法、ホルモン療法、監視療法などがあります。

手術には従来の開腹手術、腹腔鏡下手術、ロボット支援手術があり、特に腹腔鏡下手術やロボット支援手術は傷が小さく、回復も早いのが特徴です。

放射線療法には、体の外から放射線を当てる方法と、体の中から放射線を当てる方法の2種類があります。また、男性ホルモンを抑える薬を使うホルモン療法や、高齢の方などでは、定期的な検査で経過を見ていく監視療法を選ぶこともあります。

このように、年齢や体力、生活の質なども考慮しながら、それぞれの患者さんに合った治療法を選んでいきます。

ステージ0・ステージ1の肝臓がん

ステージ0の肝臓がんは、がんが粘膜内に留まっている状態です。がんの大きさが2cm以下で、肝臓内の血管への広がりがない場合はステージ1に分類されます。このステージでの5年相対生存率は63.0%で、他のがんと比べるとやや低めですが、適切な治療により長期の生存が期待できます。

肝臓がんの早期段階では、ほとんどの場合に自覚症状がありません。多くは健診や他の病気の検査の際に偶然見つかることが一般的です。特に肝炎ウイルスを持っている方や肝硬変の方は、定期的な検査による早期発見が重要です。

▼肝細胞がんの5年相対生存率

ステージ5年相対生存率
(2014-2015年)
ステージ163.0%
ステージ245.2%
ステージ316.0%
ステージ44.4%

出典:国立がん研究センターがん情報サービス|院内がん登録生存率集計結果閲覧システム 肝細胞がん5年生存率

ステージ0・ステージ1の肝臓がんの治療法

初期の肝臓がんに対する治療法は、手術と局所療法が主な選択肢です。手術では、がんとその周りの肝臓組織を部分的に切除します。手術の方法は、がんの場所や大きさ、肝臓の働きの状態などを考慮して決めていきます。

局所療法には、ラジオ波焼灼療法やマイクロ波焼灼療法があります。これらは、超音波やCTなどの画像を見ながら、体の外からがんに特殊な針を刺し、熱でがんを治療する方法です。手術と比べて体への負担が少なく、入院期間も短いという特徴があり、高齢の方や肝臓の働きが低下している場合は、この局所療法が選ばれることが多いです。

ステージ0・ステージ1の膵臓がん

ステージ0の膵臓がんは、がんが膵管の最も表面の層に留まり、膵管の壁には広がっていない状態です。がんが膵臓の中に限局していてリンパ節への広がりがない場合はステージ1となります。他のがんと比べると、このステージでの5年相対生存率は53.4%とやや低い値ですが、早期発見・早期治療により、より良い治療効果が期待できます。

膵臓がんは、進行するまではっきりとした症状が現れにくいことが特徴で、早期発見が難しいがんの一つとされています。進行すると、お腹や背中の痛み、食欲不振、体重減少、体のかゆみ、黄疸などの症状が現れますが、早期の段階ではこれらの症状がほとんど見られません。

▼膵臓がんの5年相対生存率

ステージ5年相対生存率
(2014-2015年)
ステージ153.4%
ステージ222.5%
ステージ36.2%
ステージ41.6%

出典:国立がん研究センターがん情報サービス|院内がん登録生存率集計結果閲覧システム 膵臓がん5年生存率

ステージ0・ステージ1の膵臓がんの治療法

初期の膵臓がんに対する主な治療法は手術です。手術の種類は、がんのある場所によって、膵頭十二指腸切除術、膵体尾部切除術、膵全摘術などから選びます。膵頭十二指腸切除術では、十二指腸、胆のう、胆管を含めて膵臓の頭の部分を切除し、その後、残った膵臓、胆管、胃を小腸とつなぎ合わせます。

手術の方法には、従来の開腹手術、腹腔鏡下手術、ロボット支援手術があり、特に腹腔鏡下手術やロボット支援手術は傷が小さく、回復も早いという利点があります。

また、ステージ1の膵臓がんでは、手術の前後に抗がん剤治療を行うことで、再発を防ぎ、生存期間を延ばすことが期待できます。一方、ステージ0の段階では、通常、手術前後の薬物療法は行いません。

まとめ

がんの治療において、早期発見・早期治療は非常に重要な意味を持ちます。本稿で見てきたように、ステージ0・ステージ1の初期がんでは、多くの場合で90%以上という高い生存率を示しています。また、内視鏡治療や腹腔鏡手術など、体への負担が少ない治療法を選択できる可能性も高くなります。

一方で、初期がんの多くは自覚症状がほとんどありません。そのため、定期的な健康診断や各種がん検診の受診が早期発見の鍵となります。

如月 真紀

<この記事を書いたのは・・・>

如月 真紀(きさらぎ まき)

医師、医学博士、総合内科専門医。都内の大学病院勤務を経て、現在はアメリカで研究中。医療関連の記事の執筆や監修、医療系動画監修、医療系コンテンツ制作など幅広く手がけている。研究の傍ら、医学の知識や医師の経験を活かし、患者や患者家族のためになるコンテンツ作成を目指している。

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