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術後補助療法とは?

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手術でがんを取り切ったように見えても、目に見えないくらい小さいがんが残っている可能性があります。がんが残っていると再発するリスクが高いため「術後補助療法」を検討します。

こちらでは術後補助療法の目的や種類について分かりやすく解説します。

がんの再発とは

手術による治療がうまくいったように見えても、目に見えないくらい小さいがんが残っている可能性があります。また、画像検査などでがんの存在を認めなかったとしても、検査では見つからないようながんが残っていることもあります。

手術で取り切れていなかったがんが再び現れたり、薬物療法や放射線治療で縮小したがんが再び大きくなったり、別の場所に同じがんが発生したりすることを「再発」とよびます。再発の危険性は、がんが進行しているほど高まることがわかっています。

ただ、多くのがんにおいて、術後5年を超えて再発するのは1%未満です。術後5年間に再発がなければ「がんは治った」と考えます。

再発は3つに分類される

手術や抗がん剤による治療を行った後に、再び同じ性質を持つがんが発生することを再発といいます。再発は、再発する場所やメカニズムなどによって「局所再発」「領域再発」「遠隔再発」の3つに分類されます。

局所再発

がんの局所再発とは、最初にがんが発生した場所や周辺に同じ性質のがんが再び発生することです。手術や抗がん剤による治療を行っても、目や画像では確認できないような小さいがんが残っている場合があります。局所再発は、治療をしたにも関わらず残っていた小さいがんが、最初にがんが発生した場所や周辺で再び大きくなることによって起こります。

がんによって、局所再発が起こりやすいものがあります。例えば、肝細胞がんの多くは、肝炎ウイルスによる慢性肝炎や肝硬変を経て発生するので、治療を行った後でも高い確率で局所再発することがわかっています。局所再発は、再発の初期の場合が多いので、早く見つけて治療をすれば完治する可能性もあります。

領域再発

領域再発とは、最初にがんが発生した場所の周辺のリンパ節や組織でがんが発生することです。がんは1か所だけで大きくなるわけではなく、周囲に広がった後に、その場で大きくなる場合もあるため、領域再発が起こります。

例えば、乳房の近くには多くのリンパ節が存在するので、乳がんは周辺のリンパ節で再発しやすい傾向があります。領域再発は、早期に見つけることができれば治療により全身へのがんの広がりを防げる可能性があります。

遠隔再発

遠隔再発とは、最初にがんが発生した場所から離れた場所でがんが発生することです。遠隔再発では、がん細胞が血管やリンパ管の内部に入り込み、血液やリンパ液に乗って遠くの離れた場所に移動して、全く違う場所でがんが発生します。

例えば、大腸から肝臓に行く血管内をがん細胞が移動するため、結腸がんは肝臓に遠隔再発することが多い傾向にあります。また遠隔再発は、他の再発と異なり、がんの進行が進んでいる状態なので、治療は複雑になる可能性が高いです。

再発を防止するための術後補助療法

再発リスクが高いと判断される場合は、再発を防止するために術後補助療法が行われます。

再発は、最初にがんが発生した場所に限られるわけではありません。血管やリンパ管を通って、遠く離れた場所で再発する可能性もあり、予測は不可能です。そのため術後補助療法では、全身への治療効果が期待できる薬物療法やホルモン療法(内分泌療法)が検討されます。

また、最初のがんが発生した場所やその周辺に再発する「局所再発」を防ぐために、放射線治療が選ばれることもあります。どの治療法を行うかは、がんの進行度や種類、患者さんの全身状態などを考慮し、決められます。

術後補助療法の種類

薬物療法

薬物療法は、全身にがんが転移する可能性が高い時に選択される治療法です。薬物療法には、抗がん剤による化学療法とホルモン療法があります。

術後補助化学療法では、抗がん剤を投与して取り残している可能性のある小さいがん細胞の増殖を抑え、再発を防ぎます。

一般的に、抗がん剤による治療を行うと多くの方が副作用を経験します。重い副作用が出た場合には、治療の継続が難しくなるケースもあります。使用する薬剤について説明をよく聞き、起こりうる副作用について理解しておくことが大切です。

術後ホルモン療法は、主に乳がんに適応される治療法で、女性ホルモンの働きを抑えることでがんの増殖を防ぎ、再発を予防します。

放射線療法

放射線療法は、最初のがんが発生した場所やその周辺に再発する局所再発を防ぐために行われます。

放射線をがんに照射すると、がん細胞の増殖が抑えられ、再発を予防できます。がん細胞が、正常細胞よりも放射線の影響を受けやすいことを利用した治療法です。

しかし、放射線は正常な細胞にもダメージを与えてしまうため、放射線を当てた皮膚に赤みやただれ、こわばりなどが起こることがあります。また、治療から5年以上経過したあとに放射線によるがんが発生するリスクもあります。

免疫療法

免疫療法とは、私たちが本来持っている免疫の力を利用して、がんを攻撃する治療法です。

私たちの身体の中にがん細胞が発生しても、本来は免疫機能によって排除されます。しかし、がん細胞が免疫の力を弱めてしまい、がん細胞を排除しきれなくなることがあります。すると、がん細胞の増殖を止められず、がんが発症してしまうのです。

免疫療法では、免疫が本来の力を保ち、がん細胞を攻撃できるようにします。

まとめ

術後補助療法は、がんの再発を防ぐための治療です。治療法には薬物療法、放射線療法、免疫療法の3種類があり、がんの種類や進行度によって選ばれます。適応となる時期が限られていたり、副作用が起こる可能性もあります。術後補助療法を行うかどうかも含めて主治医とよく相談し、患者さん自身が納得して決定することが大切です。

如月 真紀

<この記事を書いたのは・・・>

如月 真紀(きさらぎ まき)

医師、医学博士、総合内科専門医。都内の大学病院勤務を経て、現在はアメリカで研究中。医療関連の記事の執筆や監修、医療系動画監修、医療系コンテンツ制作など幅広く手がけている。研究の傍ら、医学の知識や医師の経験を活かし、患者や患者家族のためになるコンテンツ作成を目指している。

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