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ATLに対するANK療法の経過レビューがCMJに掲載される

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成人T細胞白血病(ATL)は、発症すると予後の悪い血液のがんです。ATLにはいくつかのタイプがあり、効果的な治療法がない場合もあります。

長井医師らが、効果的な治療法がない高齢のATL患者に対してANK免疫療法を行ったところ、症状や画像所見、呼吸機能の改善を認めました。掲載された論文の詳細について解説します。

論文の要約

成人T細胞白血病(ATL)は、HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)というウイルスへの感染が原因で起こる病気で、発症すると予後が悪いがんの1つです。ATLにはさまざまなタイプがあり、効果的な治療法がない場合も多いです。

今回、症例報告をした長井医師らは、ATLと診断された80代の女性に対し、ANK免疫細胞療法を行いました。患者は、呼吸困難と咳の症状があり、CT画像でも肺に広がる病変を認めました。

ANK免疫細胞療法を行ったところ、呼吸困難や咳の症状の改善と共に、画像所見も改善しました。初回の治療後10か月間は病状を抑えられていましたが、その後徐々に悪化したため、患者の希望もあり2度目のANK免疫細胞療法を行いました。2度目の治療後も、症状や画像所見、呼吸機能など全て改善を認めました。副作用としては、自宅療養で改善する程度の発熱の倦怠感が起こりました。

ANK免疫細胞療法では、PD-L1陽性腫瘍細胞を死滅させることが明らかになっており、PD-L1の要請腫瘍細胞が多く含まれるATLに対して有効であったのではないかと考えられました。また、NK活性が低下している患者に対し、活性化NK細胞を投与することによって腫瘍を攻撃する力をサポートできた可能性が示唆されました。

ATL「成人T細胞白血病」とは

ATLは、HTLV-1とよばれるウイルスに感染した人の数%に発症することのある血液のがんです。ATLは、タイプによって急性型、リンパ腫型、慢性型、くすぶり型に分けられ、症状の程度が異なります。40歳以上で発症する患者がほとんどで、高齢者も多く含まれます。

骨髄移植や抗がん剤、分子標的薬などの治療が行われることもありますが、年齢や合併症、全身状態などによって治療が難しい場合もあります。急激に症状が進行することも多く、予後が悪いがんとして知られています。

白血病における免疫細胞療法の有用性について

近年、さまざまながんに対して免疫細胞療法の有用性が検討されています。しかし、一般的に白血病には免疫細胞療法は向いていないと考えられています。免疫細胞療法では、患者の血液から免疫細胞を採取し、培養してから再び患者に戻しますが、採取した血液にがん細胞が混入してしまうからです。がん細胞を除去、または死滅させてから培養する免疫細胞療法もありますが、前処理に時間と技術を要します。

ANK免疫細胞療法(ANK自己リンパ球免疫療法)とは

ANK免疫細胞療法は、免疫細胞療法の1つで、患者の血液から採取したNK細胞を活性化させ、増やし、がんに対する攻撃力を高めたNK細胞を再び身体に戻す治療法です。ANK免疫細胞療法は、他の免疫細胞療法と異なり、患者の血液中に混入するがん細胞が、ある程度のレベル以下であれば培養中に検査で検出できないくらいに減らすことができます。

ANK免疫療法では、患者自身のNK細胞を利用するので、副作用がほとんどありません。今回の症例報告のように、発熱や倦怠感などが認められたとしても自宅で療養すれば改善することが多いです。

如月 真紀

<この記事を書いたのは・・・>

如月 真紀(きさらぎ まき)

医師、医学博士、総合内科専門医。都内の大学病院勤務を経て、現在はアメリカで研究中。医療関連の記事の執筆や監修、医療系動画監修、医療系コンテンツ制作など幅広く手がけている。研究の傍ら、医学の知識や医師の経験を活かし、患者や患者家族のためになるコンテンツ作成を目指している。

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