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TS-1

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TS-1は、胃がんや結腸・直腸がん、肺がん、手術不能または再発の乳がん、膵がんなどに対する治療薬として使われます。ここでは、TS-1の作用や特徴、効果、副作用、注意点などについて説明します。ただし、他の治療薬と同じように、TS-1の効果や副作用は個人によって異なることも理解しておいてください。

TS-1とは

TS-1は、消火器がんの治療に使われている5-FUという抗がん剤をベースに開発した、1999年に発売された経口抗がん剤です。

この薬には「テガフール」「ギメラシル」「オテラシルカリウム」という3つの成分が配合されており、OD(オーディ)錠、顆粒剤、カプセル剤の3種類の剤形で提供されています。TS-1は飲み薬の形で使用するため、病院はもちろん自宅や職場などでも服用が可能ですが、必ず担当医師の指示に従い服用するとともに定期的な診察を受けることが大切です。

医薬品情報

テガフール

「テガフール」はプロドラッグと呼ばれており、そのままでは効力を発揮しませんが、人の体内に入ると肝臓で代謝され、フルオロウラシルに変換されて抗がん作用を発揮します。

ギメラシル

「ギメラシル」は、フルオロウラシルの分解を抑えて、その効果を持続させる働きを持っています。

オテラシルカリウム

「オテラシルカリウム」は、消化器系の副作用(下痢など)を減らすことによって、症状を軽減させる働きを持っています。

TS-1の作用と特徴

TS-1は、胃がんや結腸・直腸がん、肺がん、手術不能または再発乳がん、膵がんなどに対して使用される薬です。TS-1は内服薬で、世界中で広く使用されているフルオロウラシルという抗がん剤の効果を高め、副作用を少なくするために開発されました。TS-1には、テガフール、ギメラシル、オテラシルという3つの有効成分が含まれます。

TS-1の効果・効能

TS-1は、胃がんや結腸・直腸がん、頭頚部がん、非小細胞肺がん、手術不能または再発乳がん、膵がん、胆道がんなどに対して効果を期待できます。

TS-1の有効成分

TS-1には、テガフール、ギメラシル、オテラシルという3つの有効成分が含まれています。テガフールはがん細胞の増殖を抑え、ギメラシルはテガフールの効果を持続させます。オテラシルには下痢などの副作用を軽くするはたらきがあります。

TS-1の用法・用量

TS-1の用法・用量は、がんの種類や併用する薬剤の種類などによって異なります。

例えば、成人の胃がんや結腸・直腸がん、頭頚部がんなどに対しては、体表面積に合わせて40~60㎎/回を朝食後と夕食後の1日2回、28日間連日で経口投与し、その後14日間休薬します。経過を見ながら投与を繰り返します。

患者さんの状態を考慮し、投与量は適宜調整されます。

剤型ごとの服用方法

TS-1は上記でご紹介している通り「OD錠」「顆粒剤」「カプセル錠」の3種類の剤形が提供されており、治療を行う際にはいずれかの形状の薬を飲みます。1日2回(朝食後と夕食後)、食後30分を目安として決められた量を服用しますが、1日に服用する量は、患者さんの身長と体重をもとにして、体の状態を考慮して決定されます。

ここでは、「OD錠」「顆粒剤」「カプセル錠」のそれぞれの服用方法についてご説明します。

OD錠

OD錠の場合には、まず包装シート(PTPシート)から1回に服用する数だけ錠剤を取り出した後、舌の上で唾液でふやかして飲み込む、またはコップ1杯ほどの水で服用します。

顆粒剤

顆粒剤の場合には、スティック上の袋の切り口を切り取り、中に入っている顆粒をコップ1杯ほどの水かぬるま湯で服用します。

カプセル錠

カプセル錠の場合は、包装シート(PTPシート)から1回に服用する数だけカプセルを取り出した後、コップ1杯ほどの水かぬるま湯で服用します。

治療スケジュール

TS-1による治療を行う場合、まず通常28日間(4週間)続けて薬を服用します。その後の14日間(2週間)は休薬期間となるため、薬の服用をお休みします。このスケジュールを繰り返しながら治療を行っていきます。また、TS-1は食後に服用しますが、もし食事を摂ることができない場合には担当の医師に薬を飲んで良いかどうかを確認してください。

ただし、治療スケジュールや服用する薬の量は、服用する方の状態や副作用を見ながら進めていくことになります。状況によっては、薬の量や服用期間を短くする・休薬期間を長くするなどスケジュールを変更する場合もあります。そのため、実際の治療をどのように進めていくかについては担当の医師に確認することが大切です。

また、もし薬を飲み忘れてしまった場合には、飲み忘れ分は服用せずに次の回から服用します(2回分を1回で飲むと、薬の副作用が強く出る可能性があるためです)。もし間違えて多く飲んでしまった場合には担当の医師または薬剤師に連絡をします。薬を飲んだかどうかわからなくなってしまった場合には、念のために飲まないようにします。

TS-1の注意点

TS-1の治療中に注意すべき点がいくつかあります。

骨髄抑制

TS-1で治療を行うと、骨髄のはたらきが抑えられることがあります。骨髄は、赤血球や白血球、血小板を作っているので、骨髄のはたらきが抑えられると、貧血や感染症、出血傾向などが起こる可能性があります。骨髄の機能が低下していると判断された場合には、TS-1の中止や減量などを検討します。

間質性肺炎

TS-1の治療中に、間質炎肺炎を発症したり、悪化したりする可能性があります。間質性肺炎は、命に関わる可能性もあるので、投与中は発熱や咳などの症状や呼吸状態に注意する必要があります。定期的に胸部X線検査を行い、肺に異常が起こっていないかを確認します。間質性肺炎が起こった場合には、TS-1の投与は中止する必要があります。

効能または効果に関連する注意

頭頚部がんや非小細胞肺がんに対する術後補助化学療法におけるTS-1の安全性や有効性は確立されていません。術後補助化学療法とは、手術の後に身体の中に残っているがん細胞に対して薬を使用し死滅させることで、再発を抑える治療法です。

用法及び用量に関連する注意

治療上、やむをえず休薬期間を短くする場合には、血液検査や腎機能検査、肝機能検査などで異常がないことを確認する必要があります。ただし、少なくとも7日間の休薬期間は設けなくてはいけません。

一緒に使用してはいけない薬

TS-1を使用して治療を行っていく場合、絶対に一緒に使用してはいけない薬があるので、あらかじめどのような薬が該当するのかを知っておく必要があります。

該当する薬としてまず挙げられるのが「フッ化ピリミジン系抗がん剤」です。フッ化ピリミジン系抗がん剤とは、「フッ化ピリミジン系」と呼ばれる、TS-1と同じ種類の抗がん剤です。例えば下記のような薬が挙げられます。

※ジェネリック医薬品を同時に使用することも避ける必要があります。

また、真菌感染症の治療薬である「フッ化ピリミジン系抗真菌剤」も同時の使用を避けますが、こちらには「アンコチル」という薬が該当します。加えて、「TS-1のジェネリック医薬品」は先発医薬品であるTS-1と同じ有効成分を含んでいることから、同時に使用することは避ける必要があります。

さらに、上記で記載しているもののほかにも、飲み合わせに注意する薬もあります。注意するべき薬としては、血液を固まりにくくする「ワルファリンカリウム」、てんかんの薬である「フェニトイン」、抗がん剤の「ロンサーフ」が挙げられています。

TS-1の副作用

TS-1の治療中に副作用が出ることがあるので、体調に変化があった時にはすぐに担当医に相談するようにしましょう。副作用によっては、投与を中止する必要があります。

TS-1の投与中に見られる可能性のある副作用には、以下のようなものが挙げられます。

今回挙げた症状以外でも、TS-1による副作用の場合もあるので心配なことがあれば担当医に聞いてみるようにしてください。

TS-1の重大な副作用

TS-1の治療中に、重大な副作用が起こることがあります。適切に対処しないと命に関わる場合もあるので注意が必要です。TS-1の治療中に、体調に変化があった時にはすぐに担当医に相談するようにしてください。

肝機能障害

肝機能障害は、多くの薬で見られることのある副作用です。肝機能障害に早めに気付くために、医療機関では定期的な血液検査で肝酵素やビリルビンの数値などを確認します。肝機能障害が進行すると、肝臓の機能がほとんど機能していない肝不全とよばれる状態になるので注意が必要です。また、TS-1の投与中に、B型肝炎ウイルスの再活性化により劇症肝炎を起こすこともあります。TS-1投与前に、肝炎ウイルス感染の有無を確認し、投与前に適切な処置をしておく必要があります。

脱水症状

TS-1の治療中に、激しい下痢が起こり、脱水症状を認めることがあります。脱水症状として、喉のかわき、めまい、尿量の減少などを自覚します。激しい下痢を認めた場合には、TS-1の投与を中止し、補液などの処置を行います。

腸炎

TS-1の治療中に、出血性腸炎や虚血性腸炎、壊死性腸炎などが引き起こされる可能性があります。激しい腹痛や下痢などの症状を認めた場合には、投与を中止し、適切な処置を行います。

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