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日本人の死因の1位を占めるがんの中でも、肺がんが死亡原因のトップです(※)。早期発見が難しく、発見された時には治療方法が限られてしまうことも少なくありません。ここでは肺がんの特徴や治療内容、特に抗がん剤治療について詳しく説明します。
※参照元:厚生労働省「令和2年(2020)人口動態統計(確定数)の概況」[pdf] https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei20/dl/10_h6.pdf
※参照元:国立がん研究センター がん情報サービス https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html
目次
肺がんの主な症状には咳や痰、呼吸苦、発熱、動悸、胸の痛みなどがありますが、いずれも呼吸器の病気全般にみられる症状であり、肺がんを確定づけるような症状はありません。また、症状がないままにがんが進行している場合もあります。
肺がんは組織型によって非小細胞肺がんと小細胞肺がんに分類され、胞がんのほうががん細胞の増殖スピードが速く、転移や再発も起こしやすいのでやっかいです。治療方針も大きく変わるため、治療の前に検査で組織型を確定するのが先です。
肺がんのステージ(病期)は、3種類の分類(TNM分類)の組み合わせで決められます。
小細胞がんの治療方法を検討する際には、TNM分類と併せて「限局型」「進展型」による分類も用いられます。
※参照元:国立がん研究センター がん情報サービス https://ganjoho.jp/public/cancer/lung/treatment.html
肺がんの主な症状には、咳や痰、胸の痛み、発熱、息苦しさ、動悸などがあります。痰に血が混じる血痰とよばれる症状が出る場合もあります。
しかし、肺がんで見られる症状は、気管支炎や肺炎などの他の病気でも見られることもあるため、症状だけで肺がんを見分けるのは難しいといわれています。
また、早期の肺がんの場合には自覚症状がほとんどありません。自覚症状が出るぐらい病気が進行してから気づくというケースが珍しくなく、健康診断や他の病気の検査で偶然肺がんが見つかる場合もあります。
肺がんが脳や骨に転移すると、頭痛やふらつき、背中の痛みなどの症状が出ることがあります。
肺がんに対する検査方法には、胸部X線検査や胸部CT検査、病理検査などがあります。
まず、肺がんが疑われる時には胸部X線検査を行い、異常を認めた場合に胸部CT検査でがんの有無や大きさ、場所などを調べます。胸部CT検査でも肺がんが疑われるようであれば、病理検査をします。病理検査では、肺がんが疑われる部分から細胞や組織を採取して顕微鏡で見て、がんの有無や種類を調べます。
がんの大きさや進行の程度を調べるために、胸腹部の造影CT検査や脳のMRI検査、PET検査、骨シンチグラフィなどを行うことがあります。検査を行うタイミングは、担当の医師が決めます。
がんをすべて取りきることができると判断された場合は手術を行ないます。従来は胸部を切開し、肋骨の間を開いて行なう開胸手術が一般的でしたが、近年は胸腔鏡を用いたモニターの画像による手術も広く行なわれるようになってきました。それぞれに長所と短所があるため、医療機関によっても考え方が異なります。
肺がんは放射線治療が選択されることも多く、がんの根治や進行の抑制、症状緩和などさまざまな段階で行なわれます。全身状態が良い場合は、放射線治療と細胞傷害性抗がん剤を併用することもあります。これを化学放射線療法といい、併用したほうが効果は高いとされますが、急性の副作用が出現するリスクも高くなります。
また、がんの治療が妊娠・出産に影響する可能性もありますので、将来子どもを産むことを希望している場合には、妊孕性の温存が可能かどうかを担当医と相談してみてください。
肺がんに対する最も基本的な手術は、肺葉(はいよう)切除術とよばれています。肺は、場所によって医学的に上葉、中葉、下葉に分けられます。例えば、肺がんが肺の上葉にある場合には上葉を切除する肺葉切除術が行われます。肺葉切除術だけでなく、がんの近くにあるリンパ節も一緒に取り除く所属リンパ節郭清(かくせい)も行うことが多いです。
早期の肺がんや患者さんの状態が大きな手術に耐えられないと判断した場合には、切除する範囲を狭くする縮小手術を行うこともあります。
手術の方法には、胸を切開して肺がんを切除する「開胸手術」と胸腔鏡とよばれる器具を挿入しながら肺がんを切除する「胸腔鏡下手術」の2つがあります。胸腔鏡下手術の方が傷が小さく、手術後の回復も早いため、患者さんへの負担が少ないといわれています。
どちらの方法を選択するかは、がんの大きさや進行度、患者さんの状態などを総合的に判断し、担当医が決めます。
放射線療法とは、X線や電子線などの高エネルギーな放射線を肺がんやがんの近くのリンパ節を含めた部分に照射し、がんを治療する方法です。放射線療法は、単独で行う場合と化学療法と組み合わせて行う場合があります。
実際の治療では、身体の外から肺やリンパ節に放射線を当てます。1回の照射時間は数分程度で痛みはありません。放射線療法は途中で治療をやめてしまうと十分な効果を得られなくなるので、事前に決められた治療計画に基づいて一定期間続けて行う必要があります。
肺がんに対する薬物療法とは、がん細胞の増殖やがんの進行を抑えるための薬を身体の中に入れる治療方法です。薬の投与の仕方は、内服か点滴です。肺がんに対する薬物療法は3つあり、化学療法、分子標的療法、がん免疫療法に分けられます。
抗がん剤を使用して行う薬物療法を化学療法とよびます。抗がん剤は、がん細胞の増殖を抑える効果が期待できます。患者さんの状態や肺がんの進行度によって、使用する抗がん剤の種類が決まります。
1種類の抗がん剤で治療する場合と作用の異なる抗がん剤や分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬と組み合わせて治療する場合があります。また、手術や放射線療法と化学療法を併用することもあります。
分子標的薬を使用して治療する方法を分子標的療法とよびます。分子標的薬は、今までの研究結果から明らかになったがんの増殖に関わる分子やがんに栄養を与える血管を作らせる分子などを標的にして攻撃する薬です。がんに対する研究が進み、がんの発生や増殖に関わる分子が次々に解明されています。
肺がんに対して使用される分子標的薬にはいくつかの種類があり、標的とするタンパク質の名称によって、EGFR阻害薬、ALK阻害薬、VEGF阻害薬などとよばれています。
免疫が正常に機能していると、私たちの身体にとって異物となるウイルスや細菌、がん細胞などは排除されます。しかし、最近の研究で、がん細胞が免疫の攻撃から逃れ、増殖できるように免疫の力を抑制することがわかってきました。
がん免疫療法は、がん細胞による免疫の抑制を解除し、本来の免疫によってがん細胞を排除できるようにする治療法です。がん免疫療法には、免疫チェックポイント阻害薬による治療、がんワクチン療法、サイトカイン療法、エフェクター細胞療法などが含まれます。肺がんに対しては、一部の免疫チェックポイント阻害薬が保険適用になっています。
肺がんは転移しやすいので、抗がん剤治療は非常に有効だと考えられています。前述の化学放射線療法のように、局所療法と組み合わせて再発や転移の予防を図ることもあります。
抗がん剤治療には大きく分けて細胞傷害性抗がん剤、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬が用いられますが、特に細胞傷害性抗がん剤は正常な細胞も影響を受けるため、個人差はありますが副作用も伴います。抗がん剤をやめたいと思われる要因のひとつとして、この副作用が影響していると考えられます。
細胞傷害性抗がん剤に対して分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬は、細胞を傷害という意味では副作用が少ないと考えられています。
分子標的薬はがん細胞を直接攻撃するわけではなく、がん細胞の増殖に関わる分子(たんぱく質)に作用する薬です。しかし、分子標的薬の単独投与だけで効果を得られた患者さんもおり、それにはNK細胞の活性度が大きく影響していると考えられます。つまり、分子標的薬を併用できる治療法として、ANK免疫細胞療法は非常に向いているといえるでしょう。
分子標的薬ががん細胞の増殖を抑制し、ANK免疫細胞療法ががん細胞を退治していくという、まさに相乗効果が期待できそうです。
どんながんも治る魔法の薬はありません。
ゆえに、保険治療の抗がん剤だけでは緩和や延命が目的になることもありますが、ほかの治療と併用することで好転することもあります。できる治療すべてを試す覚悟が大事だということも覚えておきましょう。
治療のひとつの選択肢として挙げられるのが、ANK免疫細胞療法。がん退治の本命細胞である「NK細胞」を活性化させてがん治療を行っていく免疫療法のひとつです。
以下の動画で、ANK免疫細胞療法のしくみを詳しく紹介していますのでぜひご覧ください。
肺がんで使用される抗がん剤によって、吐き気や嘔吐が引き起こされることがあります。吐き気や嘔吐の症状は、抗がん剤を投与してから数時間で出ることもあれば、翌日以降に起こる場合もあります。
吐き気や嘔吐の症状は、すぐに落ち着く時もあれば、1週間程度続くこともあります。食べる量が多かったり、匂いが強いと吐き気や嘔吐の原因になる場合があるので、無理せずに食べやすいものを少量ずつ食べるとよいかもしれません。吐き気止めを処方されている場合には、指示通りに内服すると予防できることがあります。
吐き気や嘔吐により食事ができない状態が続く場合や激しい嘔吐が続いている場合には、水分と栄養の補給が必要になるので、早めに医療機関に相談しましょう。
抗がん剤を使用した際に、指先や足先がピリピリするような違和感が出ることや手足の感覚が鈍くなることがあります。手足の感覚が鈍くなるので、やけどやケガに気を付けましょう。症状が重い場合には、早めに医療機関に相談してください。
手足のしびれに対する有効な予防法や治療法は現時点でも確立されていません。ただ、冷たいものに触れると症状が出やすいといわれているので、冷たいものに直接触れないように心がけるとよいでしょう。血行を良くするとしびれが悪化しないと考えられているので、手足を動かしたり、入浴中にマッサージをしたりするのも対処法の1つです。
抗がん剤の使用直後や数日後に下痢の症状が出ることがあります。下痢が長く続いたり、1日に何度も下痢をする場合には、脱水になる可能性があるので注意が必要です。もし、下痢が続いた後に、尿量減少や脱力、頭痛、めまいなどがあったら身体の中の水分が足りていないサインかもしれません。下痢の時には、こまめな水分補給を心がけ、消化の良い食事をとるようにしましょう。
下痢が3日以上続いたり、1日4~6回以上の激しい下痢がある場合には、脱水になる可能性があるので、すぐに医療機関に相談しましょう。
抗がん剤を投与して1週間くらい経過すると、血液細胞を作る骨髄とよばれる組織の働きが抑制されます。骨髄のはたらきが抑制されると、病原体から身体を守る白血球の数が減り、感染症にかかりやすくなります。また、感染症にかかると重症化しやすいといわれています。
感染予防のために、食事の前や外出の後などに、手洗い、うがいをするとよいです。また、感染のリスクを下げるために、人ごみを避け、外出時にマスクをするとよいでしょう。感染の兆候にすぐに気づくために、1日1回の体温測定がおすすめです。
37.5℃以上の発熱があったら、早めに医療機関に相談しましょう。
肺がんに対する治療で使用されることの多いシスプラチンは、腎障害が起きる確率が比較的高いといわれています。腎障害の有無を知るためには、医療機関で血液検査を受ける必要があります。
抗がん剤による腎障害を防ぐためには、点滴や経口補液などで尿量を保ち、腎臓から排泄される抗がん剤の濃度を薄くすることが大切です。また、抗がん剤の使用中に市販の解熱鎮痛薬などを内服すると、腎障害を悪化させる可能性もあるので、内服前には必ず医療機関に相談しましょう。