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がん患者さんの20~50%は、「眠れない」という症状が出るといわれています。眠れない原因や対処法を知っておくことは、がんの治療を安心して受けるうえで大切です。今回は、がんと睡眠障害の関係や原因、対処法についてわかりやすくまとめます。
睡眠は、心と身体の健康維持のために大切です。質のよい睡眠をとれないと、脳や身体の疲れがとれないだけでなく、免疫力の低下や気持ちの落ち込みなどを引き起こすことがわかっています。しかし、さまざまな原因で、なかなか寝付けなかったり、途中で起きてしまったり、寝たのに日中にとても眠くなったりすることがあります。
睡眠障害とは、睡眠に関連したさまざまな症状を起こす病気の総称です。睡眠障害は、大きく分けると不眠症、過眠症、睡眠随伴症がありますが、最も多いのは不眠症です。がん患者さんにおいても、不眠症を経験する方が多いといわれています。例えば、がんと告知されて不安を感じた時や、がんの治療の副作用でつらい時に眠れなくなることがあります。がん患者さんの不眠の原因には、がんによるものだけでなく、がん治療によるものや、生活環境の変化や心理的ストレスによるものなども含まれます。
がんになると、発熱や痛み、吐き気、嘔吐、下痢、便秘、息苦しさ、倦怠感、かゆみなど、さまざまな症状が出ます。がんによる症状によって、なかなか寝付けない、症状がつらくて睡眠の途中で起きてしまう、といったことがあります。また、抗がん剤やステロイドなどの副作用で不眠の症状が出る場合もあります。抗不安薬や睡眠薬、医療用麻薬などを長期間使った後に中止すると、不眠が引き起こされることもわかっています。
がんの治療を始めると、生活環境に変化が起こります。がんの標準的治療には、手術、薬物療法、放射線療法がありますが、どの治療法を選択したとしても、通院や入院が必要です。通院や入院による環境の変化で、不眠になることがあります。また、がんの症状やがんの治療、治療による副作用などで、会社を休まなくてはいけない状況になる場合もあり、社会生活の変化による不眠が引き起こされる可能性があります。寝る時間や起きる時間などの変化も、睡眠に影響を与えます。
がんと診断されると、多くの方がショックやストレスを感じます。また、がんが進行することを考えて不安になったり、家族への影響を考えて心配になったりする場合もあるでしょう。不安や気になることがあると、なかなか寝付けないことや、眠りが浅くなって夜中に起きてしまう可能性があります。また、家族関係や職場の人間関係の悩みによって不眠が引き起こされる場合もあります。
がんと診断された直後や治療中などに眠れないと感じた場合には、医師や看護師などに相談してみてください。適切な対処方法が見つかる場合や気持ちが軽くなることがあります。痛みや吐き気などによる症状が原因で眠れない場合には、医師が症状に合わせた薬を処方する場合があります。また、不眠が続く場合には、睡眠薬や抗不安薬が処方されることもあります。薬の依存症になるのではないかと睡眠薬や抗不安薬に抵抗を感じる方もいますが、短期間であれば問題になることはほとんどないので、医師の指示通りに内服して眠れた方が身体と心の健康のためによいのではないでしょうか。
がん治療に関わっている医師や看護師だけでなく、必要があれば担当医によって心療内科医や心理士などの心の専門家を紹介されることもあります。担当医にどのように聞けばわからない場合には、がん相談支援センターやソーシャルワーカーなどにも相談できるので、1人で抱え込まないようにしましょう。
毎日の生活習慣は、睡眠に影響します。なるべく毎日同じ時刻に起きて、朝起きたら日光を浴びるようにしましょう。規則正しい食事や適度な運動は、よく眠るために大切です。運動は体調を考慮し、無理のない範囲にしてください。体調に問題がない時には、少し近所を歩くだけでもよい運動になります。
また、寝る前の飲酒やカフェイン入りの飲み物や食べ物は控えるようにしましょう。
眠れない時には、寝ようとすればするほど寝られなくなることがあります。眠れない時には、一度ベッドから離れてリラックスして、眠くなってから横になるのもおすすめです。
リラックスできる方法には、ぬるめのお風呂やカフェインの入っていない温かい飲み物、音楽、軽い読書、アロマ、軽いマッサージやストレッチなどがあります。自分にとってリラックスできる方法を見つけて、眠れない時には試してみましょう。
寝室の照明や温度、湿度、音、寝具などの心室環境を整えることも、よく眠るためには重要です。寝室の照明は暗くし、スマートフォンやパソコンは寝る前に見ないようにしましょう。
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