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パクリタキセルは、卵巣がん、乳がん、胃がんなどに使用される抗がん剤です。ここでは、パクリタキセルの作用や特徴、効果、副作用、注意点などについて説明します。ただし、他の治療薬と同じように、パクリタキセルの効果や副作用は個人によって異なることも理解しておいてください。
パクリタキセルは、イチイと呼ばれる木の樹皮から取り出された成分を原料にしている抗がん剤です。単独で使用するケースもありますが、肺がんや乳がんといった多くのがんに対して、ほかの抗がん剤と一緒に投与されるのが一般的です。パクリタキセルは、タキサンというグループに分類されている抗がん剤の1種です。がん細胞が分裂するのを阻止し、増殖を予防する働きが期待されています。
TC療法とは、パクリタキセルとカルボプラチンと呼ばれる2種類の抗がん剤を組み合わせた治療のことを指します。
人の細胞は、細胞分裂することによって増殖します。分裂のスピードに差は見られ、がん細胞の増殖も同様です。パクリタキセルは、細胞分裂に必要とされる微小管に作用し細胞分裂を阻止します。そしてがん細胞の増殖を抑えて死滅させるのが特徴です。パクリタキセルは、その成分や溶解補助剤が原因と言われているアレルギー症状が報告されているのです。
上記の症状を予防するため、あらかじめ抗アレルギー薬と呼ばれる薬剤を点滴します。また、添加剤として無水エタノールを含有しているため、ふらつきや動悸、眠気といった、飲酒をしたときに見られる症状が出る可能性があります。アルコールに弱い方や、アレルギーのある方は、事前にスタッフへ相談しておきましょう。
細胞分裂をする際、DNAが合成されています。これは、がん細胞が分裂する時も同様です。カルボプラチンには、がん細胞に取り込まれることによって、DNAの合成を阻害。がん細胞の分裂を止めることによって、がん細胞を死滅させる働きがあります。
TC療法の副作用には、脱毛・しびれ・吐き気・嘔吐・筋肉痛・関節痛・アレルギー・白血球減少・爪の変化などがあります。副作用は、すべての方に起こるわけではなく、程度には個人差があります。副作用や気になる症状がある方は、事前に担当医へ確認しておきましょう。
パクリタキセルは、植物成分から作られた抗がん剤で、卵巣がん、乳がん、胃がんなどに対して使用されます。がんの種類により、使用するパクリタキセルの量や使い方が異なります。パクリタキセルは、がん細胞が増えることを阻止し、やがて死滅させます。
パクリタキセルは、卵巣がん、非小細胞肺がん、乳がん、胃がん、子宮体がん、再発または遠隔転移を有する頭頚部がん、再発または遠隔転移を有する食道がん、血管肉腫、進行または再発の子宮頸がん、再発または難治性の胚細胞腫瘍に対する効果を期待できます。胚細胞腫瘍には、精巣腫瘍、卵巣腫瘍、性腺外腫瘍が含まれます。
パクリタキセルの有効成分は、同名のパクリタキセルです。有効成分であるパクリタキセルが、がん細胞の分裂に必要な微小管に働きかけ、がん細胞が増えることを阻止します。
パクリタキセルは、がんの種類によって用法・容量が異なります。
非小細胞肺がんや子宮体がんには、下記A法を使用します。乳がんにはA法もしくはB法、卵巣がんにはA法もしくはカルボプラチンとの併用でC法、胃がんにはA法もしくはE法を使用します。
進行もしくは再発の子宮頸がんにはシスプラチンとの併用において、D法を採用します。再発もしくは難治性の胚細胞腫瘍には、他の抗悪性腫瘍剤と併用してA法を使用するケースが多いです。再発もしくは遠隔転移のある頭頸部がん、再発または遠隔転移のある食道がん、血管肉腫にはB法を用います。
パクリタキセルを治療薬として使用する場合には、基本的な注意点がいくつかあります。
パクリタキセルの使用中に、骨髄抑制という副作用が出る場合があります。骨髄抑制とは、骨髄のはたらきが低下することで、貧血や出血、感染症を引き起こす原因になります。異常が認められた場合には、減量や休薬などを検討します。使用期間が長くなるほど、副作用が強く現れることがあるので注意が必要です。
パクリタキセルを使用中に、重篤な過敏反応が出ることがあります。呼吸困難、胸痛、発汗、低血圧などの症状を認めた場合には、すぐに投与を中止する必要があります。
発熱は、パクリタキセルの使用中によく起こるといわれています。一般的に、パクリタキセルを投与開始後約6~10日後に発熱を認めることが多いです。
パクリタキセルの使用開始後に、手足の痛みやしびれなどの末梢神経障害を認める場合があります。末梢神経障害の症状が出た場合には、減量や休薬を検討します。一般的に、末梢神経障害は投与開始後3~5日後に現れます。
子宮体がんに対する術後補助化学療法においては、パクリタキセルの有効性は確立されていません。術後補助化学療法とは、手術の後に身体の中に残っているがん細胞に対して薬を使用し死滅させることで、再発を抑える治療法です。
パクリタキセルによる重篤な過敏反応を防止するために、ステロイドや抗ヒスタミン薬などを、パクリタキセルを使用する前に投与します。
また、投与前に血液中の白血球数を確認し、白血球数が少ないようであればパクリタキセルの投与を延期します。
パクリタキセルを使用中に副作用が出ることがあるので、体調に変化があった時にはすぐに担当医に相談するようにしましょう。副作用によっては、使用を中止する必要があります。
パクリタキセルの使用中に見られる可能性のある副作用には、以下のようなものが挙げられます。
今回挙げた症状以外でも、パクリタキセルによる副作用の場合もあるので心配なことがあれば担当医に聞いてみるようにしてください。
パクリタキセルの使用中に、重大な副作用が起こることがあります。適切に対処しないと命に関わる場合もあるので注意が必要です。パクリタキセルを使用中に、体調に変化があった時にはすぐに担当医に相談するようにしてください。
パクリタキセルに対して強いアレルギー反応が出ることがあります。強いアレルギー反応により、血圧低下や呼吸困難、胸痛などのような命の危険がある症状を起こすことをアナフィラキシーとよびます。アナフィラキシーが疑われる場合には、パクリタキセルの使用を中止します。
副作用として間質性肺炎が起こると、命に関わる可能性があります。間質性肺炎の症状は、発熱、咳、呼吸困難などです。パクリタキセルを使用中に間質性肺炎の発症を認めた場合には、すぐに使用を中止し、ステロイドの投与などを行います。
パクリタキセルの使用中に、肝機能障害を認めることがあります。肝機能障害に早めに気付くために、医療機関では定期的な血液検査で肝酵素やビリルビンの数値を確認します。
パクリタキセルの使用中に、腎機能が低下する急性腎障害という副作用が起こることがあります。急性腎障害は命に関わる可能性のある副作用の1つなので、血液検査で腎機能の異常を認めた場合にはパクリタキセルの中止を検討します。