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パクリタキセルは、卵巣がん、乳がん、胃がんなどに使用される抗がん剤です。ここでは、パクリタキセルの作用や特徴、効果、副作用、注意点などについて説明します。ただし、他の治療薬と同じように、パクリタキセルの効果や副作用は個人によって異なることも理解しておいてください。
パクリタキセルは、植物成分から作られた抗がん剤で、卵巣がん、乳がん、胃がんなどに対して使用されます。がんの種類により、使用するパクリタキセルの量や使い方が異なります。パクリタキセルは、がん細胞が増えることを阻止し、やがて死滅させます。
パクリタキセルは、卵巣がん、非小細胞肺がん、乳がん、胃がん、子宮体がん、再発または遠隔転移を有する頭頚部がん、再発または遠隔転移を有する食道がん、血管肉腫、進行または再発の子宮頸がん、再発または難治性の胚細胞腫瘍に対する効果を期待できます。胚細胞腫瘍には、精巣腫瘍、卵巣腫瘍、性腺外腫瘍が含まれます。
パクリタキセルの有効成分は、同名のパクリタキセルです。有効成分であるパクリタキセルが、がん細胞の分裂に必要な微小管に働きかけ、がん細胞が増えることを阻止します。
パクリタキセルの用法・用量は、がんの種類によって異なります。例えば、成人の子宮体がんや乳がん、卵巣がん、胃がんなどに対して使用する場合には、1日1回210㎎/㎡(体表面積)を3時間かけて点滴静注し、少なくとも3週間休薬します。これを1クールとして、繰り返し行います。患者さんの状態を考慮し、投与量は適宜調整されます。
パクリタキセルを治療薬として使用する場合には、基本的な注意点がいくつかあります。
パクリタキセルの使用中に、骨髄抑制という副作用が出る場合があります。骨髄抑制とは、骨髄のはたらきが低下することで、貧血や出血、感染症を引き起こす原因になります。異常が認められた場合には、減量や休薬などを検討します。使用期間が長くなるほど、副作用が強く現れることがあるので注意が必要です。
パクリタキセルを使用中に、重篤な過敏反応が出ることがあります。呼吸困難、胸痛、発汗、低血圧などの症状を認めた場合には、すぐに投与を中止する必要があります。
発熱は、パクリタキセルの使用中によく起こるといわれています。一般的に、パクリタキセルを投与開始後約6~10日後に発熱を認めることが多いです。
パクリタキセルの使用開始後に、手足の痛みやしびれなどの末梢神経障害を認める場合があります。末梢神経障害の症状が出た場合には、減量や休薬を検討します。一般的に、末梢神経障害は投与開始後3~5日後に現れます。
子宮体がんに対する術後補助化学療法においては、パクリタキセルの有効性は確立されていません。術後補助化学療法とは、手術の後に身体の中に残っているがん細胞に対して薬を使用し死滅させることで、再発を抑える治療法です。
パクリタキセルによる重篤な過敏反応を防止するために、ステロイドや抗ヒスタミン薬などを、パクリタキセルを使用する前に投与します。
また、投与前に血液中の白血球数を確認し、白血球数が少ないようであればパクリタキセルの投与を延期します。
パクリタキセルを使用中に副作用が出ることがあるので、体調に変化があった時にはすぐに担当医に相談するようにしましょう。副作用によっては、使用を中止する必要があります。
パクリタキセルの使用中に見られる可能性のある副作用には、以下のようなものが挙げられます。
今回挙げた症状以外でも、パクリタキセルによる副作用の場合もあるので心配なことがあれば担当医に聞いてみるようにしてください。
パクリタキセルの使用中に、重大な副作用が起こることがあります。適切に対処しないと命に関わる場合もあるので注意が必要です。パクリタキセルを使用中に、体調に変化があった時にはすぐに担当医に相談するようにしてください。
パクリタキセルに対して強いアレルギー反応が出ることがあります。強いアレルギー反応により、血圧低下や呼吸困難、胸痛などのような命の危険がある症状を起こすことをアナフィラキシーとよびます。アナフィラキシーが疑われる場合には、パクリタキセルの使用を中止します。
副作用として間質性肺炎が起こると、命に関わる可能性があります。間質性肺炎の症状は、発熱、咳、呼吸困難などです。パクリタキセルを使用中に間質性肺炎の発症を認めた場合には、すぐに使用を中止し、ステロイドの投与などを行います。
パクリタキセルの使用中に、肝機能障害を認めることがあります。肝機能障害に早めに気付くために、医療機関では定期的な血液検査で肝酵素やビリルビンの数値を確認します。
パクリタキセルの使用中に、腎機能が低下する急性腎障害という副作用が起こることがあります。急性腎障害は命に関わる可能性のある副作用の1つなので、血液検査で腎機能の異常を認めた場合にはパクリタキセルの中止を検討します。