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前立腺がん手術後の尿漏れ

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前立腺がんの手術では、尿を溜めておくための筋肉の損傷や膀胱の機能低下などにより尿漏れが起こる場合があります。尿漏れの程度は個人差があるものの、日常生活に支障をきたす方もいます。

こちらでは前立腺がん手術後に尿漏れが起きる原因や対策について、わかりやすくまとめます。

前立腺がん手術後に尿漏れが起きる原因

前立腺がんに対する手術では、前立腺と周囲の臓器を全て摘出します。前立腺と周囲の臓器を切除する時に、尿を溜める時に使われる筋肉である尿道括約筋(にょうどうかつやくきん)の一部が傷つくことがあります。尿道括約筋が傷つくと、尿道を閉められないので尿が漏れるようになります。

また、手術後に尿をためておく膀胱の機能が低下し、膀胱が広がりにくくなることも尿漏れの原因になるといわれています。

尿漏れは術後いつまで続く?

前立腺がんの手術後には、ほとんどの患者さんが尿漏れを経験するともいわれています。しかし、多くの場合、尿漏れの症状は徐々に改善し、数か月から半年程度で回復します。ただし、数%ではあるものの、患者さんの中には尿漏れの症状が続く方もいます。

尿漏れが半年以上続く場合には、排尿に関する知識が豊富な専門医を受診した方がよいでしょう。

尿漏れ対策のためにできること

尿とりパッドを使用する

尿漏れ対策として、市販の尿とりパッドのようなケア用品を利用するのも1つの方法です。尿とりパッドは、吸収できる尿量やパッドの形、消臭機能の有無などの違いがあるので、自分に合ったものを選ぶようにしましょう。

尿とりパッドは、汚れたらすぐに取り替えた方がよいです。外出時には、使用済みの尿とりパッドを入れるためのビニール袋などを持って行くと便利です。

骨盤底筋体操をする

骨盤底筋体操は、尿漏れの改善効果があるといわれています。実際の骨盤底筋体操の方法ですが、仰向けやよつんばいなどの状態で、意識して肛門を締め、5つ数えたら緩めるという動作を繰り返します。骨盤底筋体操を行っている時には、腹筋に力を入れないように注意しましょう。

1セット約10〜20回、1日4回を目安に始めるとよいです。骨盤底筋体操は、自分のタイミングで無理なく行うことが大切です。一般的に、3か月くらい続けると効果があるといわれています。

膀胱訓練を行う

膀胱訓練とは、尿意を感じてから5~10分くらい我慢して排尿するように訓練することです。膀胱訓練をすると、膀胱にためられる尿の量を増やすことができるので、トイレに行く間隔をあけられます。膀胱訓練を繰り返し行っていると、少しずつ排尿間隔を延ばすことができます。

膀胱訓練は、担当医と相談しながら行うようにしましょう。

トイレに行く時間を決めておく

膀胱に尿をため過ぎないようにするため、尿意とは関係なく、トイレに行く時間を決めて排尿をするのも尿漏れに対する対策の1つです。

市販のノートにトイレに行った時間や尿の量を書き、排尿日誌を作るのもよいといわれています。排尿日誌をつけておくと、担当医に尿漏れの症状や程度などを適切に伝えることができるので、自分に合った治療法を見つけやすくなります。

夜間の尿漏れを防ぐために、夕方以降は飲み物の量を減らす

尿漏れの症状があってトイレが近いと、水分の摂取量を控えてしまう方もいるかもしれません。しかし、十分な水分をとるようにしないと腎臓に負担がかかる可能性があるので注意が必要です。

尿漏れへの対策として、日中に十分な水分をとり、夕方以降は飲み物の量を減らすとよいです。特に、アルコールやカフェインの入った飲み物の量は少なめにした方がよいでしょう。

肥満を改善する

肥満は、糖尿病や高血圧、心疾患、腎臓病など、多くの病気の原因になることがわかっています。尿漏れにも、肥満が影響するといわれています。肥満を改善すると尿漏れが起こりにくくなるので、適切な体重を維持するようにしましょう。肥満を改善するためには、適度な運動、バランスのよい食事が大切です。

尿漏れ手術を受ける

前立腺がんの手術後に、ほとんどの方が経験するといわれている尿漏れは、一般的に数か月から半年くらいで改善します。しかし、なかには重度の尿漏れの症状が残ってしまう方もいます。重度の尿漏れは、気持ちの落ち込みや生活の質の低下につながるので、尿漏れに対する手術を検討した方がよい場合があります。

尿漏れに対する手術では、尿道括約筋の代わりをする器具を身体の中に埋め込み、患者さん自身が排尿を調整できるようにします。手術は、60~90分程度で、出血はほとんどありません。

尿漏れに対する手術は、前立腺がんの手術から1年以上経過しているものの、尿漏れの症状の改善が見込めないと考えられた時に行われます。

如月 真紀

<この記事を書いたのは・・・>

如月 真紀(きさらぎ まき)

医師、医学博士、総合内科専門医。都内の大学病院勤務を経て、現在はアメリカで研究中。医療関連の記事の執筆や監修、医療系動画監修、医療系コンテンツ制作など幅広く手がけている。研究の傍ら、医学の知識や医師の経験を活かし、患者や患者家族のためになるコンテンツ作成を目指している。

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