がんとANK免疫細胞療法の教科書~ANKブック~ | sponsored by リンパ球バンク株式会社
がんとANK免疫細胞療法の教科書~ANKブック~ | sponsored by リンパ球バンク株式会社 » がんとANK免疫細胞療法の最新コラム » ANK療法と活性化自己リンパ球療法の違い

ANK療法と活性化自己リンパ球療法の違い

このサイトは「リンパ球バンク株式会社」をスポンサーとして、Zenken株式会社が運営しています。

免疫細胞療法には多くの種類があるように思われがちですが、クリニックごとの呼び名が違うだけで治療の内容は同じ、というケースもあります。以下に紹介する「活性化自己リンパ球療法」もそのひとつかもしれません。ここではANK療法と活性化自己リンパ球療法の根本的な違いについて説明します。

目次

培養方法の違いが高い攻撃力を生む

活性化自己リンパ球療法はさまざまな「ブランド名」で呼ばれていますが、全国各地で広く行なわれています。具体的には、がん患者さん本人から30mlほどの血液を採取し、そこからリンパ球を取り出し、活性化と増殖を行なって患者さんの体内に戻すという治療法です。

ANK療法も活性化自己リンパ球療法と同じく、受動免疫療法のひとつです。

根本的に違うのは、ANK療法は5~8リットルもの血液を体外循環させながら大量にリンパ球を分離し、そこからNK細胞だけを選択的に増殖、活性化させるということです。基本的には一般的な培養方法を上回る細胞数と活性度を標準とし、がん細胞を攻撃できる戦力を整えます。その効果は大きながんが壊死を起こす可能性もあるほどなので、一度に体内に戻すとリスクが高いと考えられています。したがって、週2回、合計12回に分けて投与することで高い治療効果と安全性の両立を目指しています。

ANK免疫細胞療法について
こちらの動画で詳しく説明しています

活性化自己リンパ球療法とは

第4の治療法として登場した免疫細胞療法

活性化自己リンパ球療法もANK免疫細胞療法と同様、患者さん自身のリンパ球を採取して培養し、体内に戻す免疫細胞療法です。

現代のがん治療は手術、抗がん剤治療(化学療法)、放射線治療の3つが主流を占めており、これらを合わせて「標準治療」と呼んでいます。そして、第4の治療法として大きな期待とともに登場したのが免疫細胞療法です。

人間に限らず、生体を構成している無数の細胞は決まったサイクルで誕生、分裂、増殖を繰り返し、いずれ寿命が尽きて自然死を迎えます。

ところが、ストレスやウイルス、発がん物質などさまざまな良くない刺激が正常な細胞に加わると、遺伝子に異常をきたしてがん細胞に変化し、異常な増殖を始めます。
このようながん細胞は常時発生していますが、生体は常に自らを監視し、がん細胞を見つけ次第攻撃して排除しています。 このメカニズムを「免疫監視機構」といいます。その役割の中心を担っているのがNK細胞です。

しかし、何らかの原因で生体の免疫力が低下すると、免疫監視機構を逃れて増殖するがん細胞も現れます。そのまま異常な増殖を繰り返して大きくなると、病気としての「がん」となり、症状が出始めます。がんが進行すると、がんそのものが生体の免疫機能を抑制すると考えられており、さらに免疫力が低下します。

そこで、抑制された免疫機能を解放して人為的に活性化し、がんの治療につなげようとするのが免疫細胞療法の目指すところです。

LAK療法の登場と衰退

免疫療法は、大きく2つの方法に分類されます。

その1つは免疫反応を起こす物質を身体に取り入れ、もともと存在する免疫機能を刺激して活性化する方法です。これを「能動免疫療法」といいます。ワクチン療法やサイトカイン療法などが代表的ですが、広い意味ではサプリメントなど健康食品の類も能動免疫療法にあてはまるといえるでしょう。確かに免疫力を高めてがんと戦おうとする健康食品は数多く存在しますが、残念ながら抗がん効果は証明されていません。

もう1つは、生体の免疫機能を担うリンパ球などを採取して体外で活性化させ、再び体内に戻す「受動免疫療法」です。またの呼び名を「養子免疫療法」ともいい、リンパ球を生家である体内から体外に出し、育ての家である培養装置で活性化させるという流れを養子に例えたものでしょう。活性化自己リンパ球療法は、この受動免疫療法にあてはまります。

受動免疫療法の歴史を紐解くと、アメリカで研究開発されたLAK療法(リンフォカイン活性化キラー細胞療法)にさかのぼります。

1980年代の初め、アメリカ国立衛生研究所のローゼンバーグ博士が率いるチームは、がん患者さんから大量のリンパ球を採取し、相当量のインターロイキン2(リンパ球を活性化させる物質)と一緒に点滴で体内に戻す方法を開発しました。このLAK療法は治療が困難な進行がんであっても、大きながんが消える例も見られるものの、それ以上にインターロイキン2の副作用が強いことが問題でした。加えて、LAK法では活性を高めたNK細胞を増殖させることができず、残念ながら実用化は見送られました。

LAK療法が衰退したあと、研究のテーマはリンパ球の効率的な大量培養方法の開発、身体的な負担の軽減、高い治療効果と安全性が目的となっていきます。そして1980年代の後半、日本で新しい培養方法が開発されたのです。

活性化自己リンパ球療法の誕生

当時の国立がんセンター研究室長だった関根暉彬博士は、LAK療法の経験を活かし、少量の末梢血液からリンパ球を分離し、抗CD3抗体(培養を促進する物質)と前述のインターロイキン2で刺激することにより、リンパ球を1,000倍以上に増殖させることに成功しました。活性化したリンパ球を患者さんに投与する際、抗CD3抗体やインターロイキン2を取り除くことで、重い副作用も解消されました。活性化自己リンパ球療法の誕生です。

関根博士のチームは活性化自己リンパ球療法の効果を確認するため、肝臓がんの術後再発予防を目的とした臨床試験を行ないました。5年間の試験の結果、無再発生存率は改善され、統計学的にも明らかな有意差が認められました。2000年には世界的な医学雑誌「ランセット」にも掲載され、活性化自己リンパ球療法は科学的根拠に基づいた初めての受動免疫療法として知られることになったのです。

このページの監修者

木村 眞樹子 医師

東京女子医科大学医学部卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事している。
妊娠、出産を経て、また産業医としても働くなかで予防医学への関心が高まった。医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる前の人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行っている。

ANK免疫細胞療法が受けられる
クリニックはこちら

ANK免疫細胞療法を検討中の
医療従事者の方はこちら

ANK免疫細胞療法が
受けられる
クリニックはこちら

ANK免疫細胞療法を
検討中の
医療従事者の方はこちら