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聴器がんは、「聴器」、つまり聴覚に関する臓器にできるがんのことです。聴器がんが発生する頻度は非常に稀で、100万人に1人程度の割合だと言われていて、希少がんのひとつです。治療方法はあるのですが、希少かつ、症状が多彩なこともあり、明確な治療戦略が立てづらい疾患でもあります。
聴器がんは、前述した通り発生頻度は100万人に1人程度、頭頸部領域(首から上部)のがんの中では1%から2%という、希少がんです。聴器は外耳、中耳、内耳に分類され、聴器がんはそのなかでも外耳に発生する割合が最も多く、次に中耳、そして、内耳にはほとんど発生しないと言われています。聴器がんの特徴として、がんの場所が深部に位置すればするほど治療前に診断がつきにくいということがあります。医療機関でも、良性の疾患として治療を受け、後にがんだとわかるケースも見られ、診断が難しい疾患だと言われています。癌のタイプとしては、扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)が約70%を占め、腺様嚢胞がん(せんようのうほうがん)、基底細胞がんの順になります。
聴器がんの症状は、扁平上皮癌が多いため、皮膚症状から始まることも多く、隆起性の腫瘤や、難治性潰瘍を形成します。耳だれ、耳出血、耳痛、聴力低下や耳閉感が現れることもあります。ただ、これらの症状は、良性疾患でも現れることが多く、慎重な鑑別が必要になります。診療では、以下の症状を確認することもあります。
耳の周囲には、顔面神経が多く通っていますので、神経麻痺がないかを確認することが重要です。方法としては、目を強くつむったり、口をとがらせたりすることで、表情筋の動きに微妙な左右差がないかどうかを調べます。顔面神経麻痺の程度が軽い場合、自覚することが難しいほど、わずかな症状しかないことがあります。そのため、顔面神経麻痺の有無をみる際にはとりわけ慎重な観察が必要となります。
耳の側には、顎関節があるので、腫瘍がある場合には口が開きにくくなる場合もあります。がんが顎関節付近に広がっていることもありますので、開口時の痛みなどについても確認します。
耳介(じかい)とは、耳たぶやその上部、耳の外に出ている部分のことです。その部分を引っ張ることで痛みを感じる場合、外耳道の炎症が考えられます。しかし、聴器がんが深部に広がっている場合にも発生することがありますので、注意が必要です。
前述の通り、聴器がんは非常に希少ながんのため、明確な治療指針やガイドラインは定まっていません。ステージ分類においても、統一的な見解ではなく、主な医療機関で共有している情報となります。
T1 | 外耳道に限局し、骨・軟部組織への進展のない腫瘍 |
T2 | 外耳道骨への部分浸潤、または限局した軟部組織浸潤(<0.5cm)を伴う腫瘍 |
T3 | 外耳道骨に全層浸潤し、限局した軟部組織浸潤(<0.5cm)を伴う腫瘍、または中耳や乳突蜂巣に浸潤した腫瘍 |
T4 | 蝸牛、錐体尖、中耳内側壁、頚動脈管、頸静脈孔、硬膜に進展する腫瘍、または軟部組織浸潤(<0.5cm)を伴う腫瘍。または顔面神経麻痺を伴う腫瘍 |
聴器がんの治療方法には、外科的治療、抗がん剤治療、放射線治療があります。以下にステージ別の治療方法について解説します。
※ガイドライン等は確立していないため、「国立がん研究センター中央病院頭頸部外科」のケースを参照しています。
※参照元:Medical Note公式HPhttps://medicalnote.jp/contents/180731-002-DN
骨や軟部組織への浸潤がない、あるいは限局的な浸潤の場合には、外科的な治療を選択します。外側側頭骨切除術(がいそくそくとうこつせつじょじゅつ)という術式により、腫瘍部分を切除します。この術式では残念ながら、聴力の温存は難しいとされています。外科的治療に加え、放射線治療を併用することもあります。
T3に進行している場合には、側頭骨亜全摘術(そくとうこつあぜんてきじゅつ)という手術をおこないます。外耳道や内耳にあるがんを塊として広範囲に切除するもので、顔面神経の温存も不可能になります。
T4の場合には、手術での治癒は難しい場合が多いです。複数の抗がん剤と放射線を組み合わせた治療がおこなわれます。
聴器がんでは抗がん剤治療もおこなわれています。がん治療には古くから広範囲でおこなわれている治療ですが、有害事象、つまり副作用が大きいことでも知られています。これは、がん細胞を殺傷する能力に優れていると同時に正常な細胞にも影響が及びやすいためです。腸や皮膚、毛根、骨髄など、増殖が盛んな正常細胞に影響が出やすいのが特徴で、吐き気や下痢、脱毛などの症状が出ます。症状によっては治療をやめたくなるほど辛いこともあります。そのような状況を打開するため、2000年代に登場したのが、がん細胞の増殖・転移・浸潤に関わる分子だけを標的とした分子標的薬です。この薬剤の大きな特徴は、正常細胞への影響が少ないことで、副作用が軽減される可能性があるのです。
分子標的薬は、腫瘍細胞の増殖、浸潤、転移に関わる分子を標的として、腫瘍の進展を阻害するものです。わかりやすく言うと、がんの栄養素を断ち、弱らせるように働きます。それと同時に自分では、がんを攻撃をしませんが、攻撃するNK細胞を呼び寄せる事ができます。これをADCC活性と言います。そこで注目されるのが、NK細胞を活性化、増殖させるANK免疫細胞療法です。この2つの治療を併用することで、相乗効果が期待されています。
どんながんも治る魔法の薬はありません。
ゆえに、保険治療の抗がん剤だけでは緩和や延命が目的になることもありますが、ほかの治療と併用することで好転することもあります。できる治療すべてを試す覚悟が大事だということも覚えておきましょう。
治療のひとつの選択肢として挙げられるのが、ANK免疫細胞療法。がん退治の本命細胞である「NK細胞」を活性化させてがん治療を行っていく免疫療法のひとつです。
以下の動画で、ANK免疫細胞療法のしくみを詳しく紹介していますのでぜひご覧ください。