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ATL(成人T細胞白血病)と抗がん剤治療

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ATLと抗がん剤

症状が急激に進行すると生命にかかわる危険な病気、ATL(成人T細胞白血病)。強力な抗がん剤を実施して一旦は小康状態となるのですが、早期に再発するという、なかなかやっかいな病気です。ここではATLの特徴や治療方法、特に抗がん剤治療や造血幹細胞移植について詳しく説明します。

目次

ATL(成人T細胞白血病)の特徴

重い免疫不全をきたす白血病

ATL(成人T細胞白血病)は、HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)というウイルスに感染することで発症する病気です。具体的には、白血球のひとつであるT細胞がHTLV-1に感染し、がん化したATL細胞が増殖することで発症します。ただ、HTLV-1に感染した人が必ずATLを発症するわけではなく、感染しても一生のうちに発症する確率は約5%といわれています(※)。

T細胞は白血球の中でも免疫を司る重要な役割を果たしているため、ATLを発症すると重い免疫不全を起こします。そうなると、健康であればかからないような感染症でもかかりやすくなります。これを日和見(ひよりみ)感染といいます。ATLが進行するとさまざまな臓器に障害をきたし、治療せずに放置すると生命に関わります。

※参照元:造血器腫瘍診療ガイドライン http://www.jshem.or.jp/gui-hemali/2_8.html

ATLの症状

ATLの主な症状として、全身のリンパ節が腫れたり、肝臓や脾臓が腫れたり、原因不明の発熱などが頻繁にみられます。皮膚の赤い湿疹や隆起(皮膚紅斑)、皮膚の下のしこりといった皮膚症状、下痢や腹痛などの消化器症状も多くあります。ATLが悪化すると血液中のカルシウム値が上昇し、全身の倦怠感や動悸、息切れ、意識障害などを起こします。また、前述のとおり免疫低下による日和見感染を高い確率で発症します。細菌だけではなく、ニューモシスチス肺炎やクリプトコッカス肺炎、カンジダ症やアスペルギルス症などの真菌感染、サイトメガロウイルス肺炎や汎発性帯状疱疹などのウイルス感染、糞線虫症などの寄生虫感染などにかかる可能性も高くなります。

ATLの分類

ATLには固形がんのような病期(ステージ)分類はありませんが、以下のようなタイプに分類されます。

ATL(成人T細胞白血病)の抗がん剤治療をやめたくなる理由

治療効果の不透明さと副作用問題

ATLに対する治療方法のひとつが、抗がん剤を使用する化学療法です。抗がん剤はがん細胞を直接攻撃しますが、正常な細胞にもダメージを与えるためさまざまな副作用を起こします。抗がん剤には多くの種類があり、通常は複数の抗がん剤を組み合わせて効果を高めつつ、できるだけ副作用を抑えるようにします。それでも、重い副作用をきたす人も少なくありません。代表的な副作用は脱毛や食欲不振、吐き気などですが、深刻なのは骨髄抑制で、白血球の減少によって感染を起こしやすくなったり、血小板の減少で出血しやすくなったり、輸血を要する場合もあります。また、肝臓や腎臓、心臓、肺に障害を起こすこともあります。

化学療法の期間中は問診、診察と検査を頻回に行ない、効果と副作用を慎重に観察しながら治療を進めます。抗がん剤は内服や注射、点滴で投与しますが、腰から薬剤を注射して脳や脊髄をATL細胞から守る治療法もあります。

化学療法はATLに対する治療として多く行なわれていますが、実はまだ治療効果が十分に確立されていません。ATLで抗がん剤をやめたいと思われる要因として、副作用と共にこの治療効果が影響していると考えられます。

また、がんの治療が妊娠・出産に影響する可能性もありますので、将来子どもを産むことを希望している場合には、妊孕性の温存が可能かどうかを担当医と相談してみてください。

ATLに対する造血幹細胞移植

ATLに対するもうひとつの代表的な治療法が造血幹細胞移植で、それには骨髄破壊的移植と骨髄非破壊的移植の2種類があります。

骨髄破壊的移植は、大量の抗がん剤投与や放射線照射でATL細胞を抑制する処置を施した後、ドナーからの正常な造血幹細胞を移植して破壊された骨髄を回復させる治療です。造血幹細胞を提供するドナーと患者さんは、HLAと呼ばれる白血球の型が一致している必要があります。一致している可能性がもっとも高いのは兄弟姉妹ですが、それでも確率は25%です(※)。親子は通常一致しませんが、兄弟姉妹の中にいなければ調べます。血縁者の中にいなければ、骨髄バンクに登録している人の中から探すことになります。HLAには6つの方があり、完全に一致していることが原則ですが、提供者が見つからない場合は完全に一致していなくても移植を行なうケースもあります。

※参照元:国立がん研究センター がん情報サービス https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/HSCT/index.html

副作用として、抗がん剤と同様の強い骨髄抑制が予想されます。また、造血幹細胞を移植してもすぐに血液がつくられるわけではないので、それまでの間は無菌室で過ごさなければなりません。大量の抗がん剤投与や放射線照射を受けているので、脱毛や吐き気といった副作用のほか、心臓や肝臓、腎臓などに障害が起きることもあります。
このほか、造血幹細胞移植に特有の副作用である「GVHD」に注意しなければなりません(後述)。

骨髄破壊的移植に対して、ミニ移植とも呼ばれている骨髄非破壊的移植という方法もあります。年齢の問題や全身状態の悪化によって大量の抗がん剤を使用できないなど、骨髄破壊的移植の適応がない場合に、抗がん剤の量や放射線照射量を減らすことで対応します。移植の方法や治療の流れは骨髄破壊的移植と同じですが、ATLに対する効果はあることが報告されています。しかし、GVHDなどの副作用は同様に起こります。

GVHD(移植片対宿主病)とは

造血幹細胞移植を受け、ドナーの正常な造血幹細胞が白血球をつくり出すようになると、その白血球が患者さんの身体そのものを異物とみなして攻撃する免疫反応が起こることがあります。これをGVHD(移植片対宿主病)といいます。症状は皮膚に発疹がみられる程度から、肝臓や胃腸に障害が起きて黄疸や下痢を伴い、時には重篤な状態に陥るものまでさまざまです。

免疫抑制剤を用いて症状をコントロールしますが、GVHDにはATL細胞を攻撃するという良い作用もあるので、免疫抑制剤の調整が非常に重要です。

ATLとANK免疫細胞療法

ATLに対するANK免疫細胞療法の効果を示す論文

日本血液学会のガイドラインによると、近年では進行が早いタイプのATLの生存期間中央値が13カ月、進行が遅いタイプも急性型へ転化すると1年とされています。そのような中、ATLに対するANK免疫細胞療法の効果を示す論文が発表されました(※)。

※参照元:British Medical Journal(BMJ)「Effectiveness of Amplified Natural Killer (ANK) Therapy for Adult T-cell Leukemia/Lymphoma (ATL) and Future Prospects of ANK Therapy」[pdf]
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8986168/pdf/nihms-1788239.pdf

対象となった患者さんは、症状の身体を繰り返す「くすぶり型」のATLと診断されていました。急性型に転化したことで腫瘍マーカーは急激に増加、リンパ球に占めるATL細胞の比率を示す異常細胞率も27%に達しました。

ANK免疫細胞療法を受けた結果、腫瘍マーカーの値は低下して落ち着き、ATLに伴う皮膚症状や高血圧、血液検査の異常値も改善され、自宅で日常生活を送れるようになるまで回復しました。この患者さんはATLではない病気で残念ながら亡くなられましたが、ANK免疫細胞療法の終了後から5年以上、ATLの症状は起きずに過ごしていました。また、急性型に転化してからはANK免疫細胞療法以外の治療は受けていません。

ANK免疫細胞療法は幅広い領域のがんが治療の対象になりますが、その中でなぜATLの症例が論文発表されたのでしょうか。
その背景には、前述のとおりATLは化学療法などの標準治療が確立していないため社会的な要請が強いこと、そしてANK免疫細胞療法単独の効果であることが示しやすいという理由もあるのでしょう。

白血病は固定がんと違って血液中にがん細胞が存在するので、血液検査で随時診断が可能です。固形がんよりも治療効果を判定するデータを取りやすく、明確な治療効果の根拠となったのです。

このページの監修者

木村 眞樹子 医師

東京女子医科大学医学部卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事している。
妊娠、出産を経て、また産業医としても働くなかで予防医学への関心が高まった。医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる前の人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行っている。

抗がん剤をやめる前に…

どんながんも治る魔法の薬はありません。
ゆえに、保険治療の抗がん剤だけでは緩和や延命が目的になることもありますが、ほかの治療と併用することで好転することもあります。できる治療すべてを試す覚悟が大事だということも覚えておきましょう。

治療のひとつの選択肢として挙げられるのが、ANK免疫細胞療法。がん退治の本命細胞である「NK細胞」を活性化させてがん治療を行っていく免疫療法のひとつです。

以下の動画で、ANK免疫細胞療法のしくみを詳しく紹介していますのでぜひご覧ください。

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