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こちらの記事では、女性特有のがんのひとつである子宮体がんについて、その特徴や治療方法についてまとめています。子宮体がんに対する抗がん剤治療についても紹介していますので、副作用などにより治療を止めたいと考えている方もご覧になってみてください。
目次
子宮体がんとは、子宮にできるがんのうち子宮体部にできるがんのことです。
子宮体がんを発症した場合に多い自覚症状としては、出血が挙げられます。そのため、月経ではない時期の出血や閉経後に出血が見られる場合には注意が必要といえるでしょう。他の症状としては、排尿しにくい・排尿時に痛みを感じる、性交痛、下腹部の痛みといったものがあります。また、子宮体がんが進行した場合にはお腹が張っていると感じるケースもあるようです。
また子宮の壁の外側半分には血管が多いことから、子宮体がんが筋肉の深い層にまで広がった場合には転移の可能性が高くなるといった特徴もあります。卵巣・卵管に広がることが比較的多いものの、リンパ節や膣、腹膜、肺に転移することもあるため、気になる症状がある場合には早めに婦人科を受診することが大切です。
子宮体がんの病期(ステージ)は、下記のように分類されています。がんの大きさやどの程度子宮の筋肉の層内にがんが入り込んでいるか、また転移が見られるかどうかという点などによって分類が行われています。
※参照元:新百合ヶ丘総合病院|子宮体がんhttps://www.shinyuri-hospital.com/department/21_obstetrics_and_gynecology/disease_02.html
※参照元:国立がん研究センター がん情報サービスhttps://ganjoho.jp/public/cancer/corpus_uteri/print.html
子宮体がんは、女性ホルモンの1つである卵胞ホルモン(エストロゲン)と深い関わりがあります。子宮の内側にある膜を内膜とよびますが、エストロゲンには内膜を厚くする働きがあります。子宮内膜にエストロゲンが過剰に作用すると、子宮体がんを引き起こしやすくなるといわれています。
具体的には、出産経験のない方、閉経の遅い方、肥満や月経不順の方は、子宮体がんになりやすいといわれています。他には、多嚢胞性卵巣症候群やエストロゲンのみのホルモン療法を受けている方も子宮体がんになるリスクが高いことがわかっています。
ひとことで子宮といっても、場所によって体部(たいぶ)と頸部(けいぶ)に分けられます。子宮の入り口の部分が頸部、子宮の奥の部分は体部です。
がんが子宮体部に発生した場合には子宮体がん、頸部に発生した場合には子宮頸がんとよばれます。子宮体がんと子宮頸がんは、がんが発生する場所だけでなく、発症しやすい年齢や、がんになりやすい方の特徴、検査方法などが異なります。
子宮体がんは50~60代に発生しやすく、妊娠・出産経験がない方、肥満や糖尿病の方などに発症することが多いといわれています。
一方で、子宮頸がんは20~30代などの若い世代に発症しやすいです。また、子宮頸がんは性交渉の人数が多い方、出産回数が多い方、性交渉を開始した年齢が低い方などが発症しやすいことがわかっています。
子宮体がんの検査方法には、子宮内膜の細胞の病理検査、内診、直腸診、子宮鏡検査、CT検査やMRI検査のような画像検査などがあります。まず、子宮体がんの有無を調べるために病理検査や内診、直腸診などを行います。がんが疑われる場合には、がんの位置や広がりを確認するために子宮鏡検査や画像検査をします。
子宮体がんの存在の有無を調べるための一般的な検査は、子宮内膜細胞診です。子宮内膜細胞診では、子宮の中に細い棒状の器具を入れて細胞を採取し、顕微鏡で確認します。
子宮体がんは比較的高齢の方に発症しやすいので、子宮の中への器具の挿入が難しい場合も多いです。子宮内部への器具の挿入が難しい時には、超音波検査で子宮内膜の厚みを測定し、がんの有無を調べます。
ただし、初期の子宮体がんの場合には超音波検査による発見が難しいことがあります。内診や直腸診では、医師が膣や肛門から指を入れて、子宮の位置や大きさ、形、直腸や直腸周辺に異常がないかを調べます。
がんの位置や広がりを調べるための検査には、子宮検査や画像検査などがあります。子宮鏡検査では、子宮の内部を見ることのできる直径3㎜程度の細いカメラを膣から挿入し、がんの位置や形を調べます。
画像検査には、超音波検査やCT検査、MRI検査などが含まれます。CT検査ではX線を使用し、MRI検査では磁気を使って身体の内部の様子を撮影します。画像検査では、がんの大きさや場所、リンパ節転移の有無、肺や肝臓など他の臓器への転移の有無、周辺臓器へのがんの広がっている程度などを調べます。
子宮体がんの治療においては、手術で子宮と卵巣・卵管の摘出が基本となります。手術によってがんを取り除くとともに、がんがどれくらい広がっているかをしっかりと診断し、その後薬物治療や放射線治療を行っていくかどうかを検討します。
手術の種類には、子宮と卵巣・卵管を摘出する単純子宮全摘出術や、子宮を支える組織の一部を含めた子宮と卵巣・卵管を摘出する準広汎子宮全摘出術、また卵巣や卵管、膣、子宮周囲の組織を含めた広い範囲で子宮の摘出を行う広汎子宮全摘出術があります。手術は基本的に開腹手術の形で行われていますが、早期の子宮体がんに対する手術の場合には、腹腔鏡下手術やロボット支援下手術が行われることも。がんの進行度や年齢などによってどの手術方法が選択されるかが変わってきます。
また、一定条件を満たしている場合には、子宮や卵巣を残せるケースもあります。そのため、将来子どもの出産を考えている場合には、主治医としっかりと相談することが必要となってきます。
子宮体がんに対する放射線治療では、高エネルギーのX線やガンマ線を使用します。
高エネルギーの放射線はがん細胞を傷つけるので、がんを小さくする効果を期待できます。がんの再発を防ぐ目的で、手術後に放射線治療を行うことがあります。年齢や他の病気により手術が難しい場合、がんの進行や転移による痛みを軽減したい場合、出血をおさえたい場合などに放射線治療を行うこともあります。
身体の外から放射線を当てる方法を外部照射、膣内から子宮の中に放射線を当てる方法を腔内照射とよびます。
抗がん剤による治療は、手術ができない場合、再発のリスクが高い場合、再発した場合などに行われます。
x患者さんの年齢や全身の状態、他の病気の有無などを考慮し、使用する抗がん剤の種類が決定されます。子宮体がんに対する抗がん剤治療としてよく知られているのはAP療法やTC療法です。AP療法ではドキソルビシンとシスプラチン、TC療法ではパクリタキセルとカルボプラチンが使用されます。
抗がん剤を使用すると副作用が起こることが多いので、治療開始後は慎重に経過を見る必要があります。
子宮体がんは、女性ホルモンの1つであるエストロゲンが子宮内膜に過剰に作用すると発生しやすくなると考えられています。子宮体がんに対するホルモン療法では、エストロゲンの作用を抑える黄体ホルモンが使用されます。ホルモン療法は、がんになる一歩手前の状態と判断された場合や早期の子宮体がんの場合、抗がん剤による治療効果が不十分な場合や再発リスクが高い場合などに行われます。ホルモン療法は、内分泌療法とよばれることもあります。
子宮体がんの治療においては、抗がん剤を用いてがん細胞の増殖抑制を狙います。抗がん剤治療は、手術を行った後の補助療法として用いられているほか、子宮体がんが子宮の外にも広がっているケースにも適応されます。
抗がん剤治療を行う場合には、通常点滴によって投与を行っていきますが、場合によっては筋肉注射や経口剤として内服によって投与する場合もあります。
抗がん剤治療は、副作用があります。短時間で現れる皮膚の赤みやかゆみ、じんましん、血圧の変化、腰痛などのほか、抗がん剤を投与した直後から1週間程度の間に吐き気や嘔吐などが現れます。また、1週間から数週間の間に骨髄抑制、発熱、腎機能・肝機能の低下、脱毛などが見られることもあります。
副作用が強く出る場合は医師や看護師、薬剤師と相談しながら、予防薬を使用するなどの対応を行っていきますが、人によっては負担が大きいことで抗がん剤治療をやめたくなるといったケースもあるでしょう。
しかし、近年ではこのような細胞障害性抗がん剤と比較すると副作用が少ない分子標的薬による治療も期待されています。
分子標的薬とは、従来の抗がん剤とは異なり、正常な細胞にはダメージを与えないという点が大きな特徴です。ただし、がん細胞を攻撃するという働きを持つものではなく、あくまでも補助的な薬剤という位置付けとなっています。
この分子標的薬の中にはNK細胞の傷害効果を高める作用を活かすものもあることから、ANK免疫細胞療法との併用について注目が集まっています。分子標的薬によってがん細胞の増殖を抑え、さらにANK免疫細胞療法ががん細胞を退治するといった治療が期待できるといえるでしょう。
どんながんも治る魔法の薬はありません。
ゆえに、保険治療の抗がん剤だけでは緩和や延命が目的になることもありますが、ほかの治療と併用することで好転することもあります。できる治療すべてを試す覚悟が大事だということも覚えておきましょう。
治療のひとつの選択肢として挙げられるのが、ANK免疫細胞療法。がん退治の本命細胞である「NK細胞」を活性化させてがん治療を行っていく免疫療法のひとつです。
以下の動画で、ANK免疫細胞療法のしくみを詳しく紹介していますのでぜひご覧ください。
吐き気や嘔吐は、抗がん剤によって脳の嘔吐中枢が刺激されて起こるといわれています。吐き気や嘔吐の症状は、抗がん剤を投与した当日に起こることもあれば、投与後2~7日で起こる場合もあります。個人差はあるものの、3~4日ほどで改善することが多いです。
食べる量を少なくしたり、消化の良いものをゆっくり食べるようにすると症状が和らぐかもしれません。吐き気止めの内服や注射によって、吐き気や嘔吐を防げる場合もあります。担当医に、吐いた回数や吐き気の程度、食事の摂取量、排便の状況などを伝えられるように記録しておくとよいです。
吐き気や嘔吐の症状で食事ができない状態が続く場合や激しい嘔吐が続いている場合には、早めに医療機関に相談しましょう。
抗がん剤による脱毛は、治療後2~3週間で起こることが多いです。脱毛は一時的で、治療終了後数か月で再び毛が生え始め、約2年で元に戻るといわれています。帽子やターバン、バンダナ、医療用のかつらなどで外見の変化をカバーするように工夫すると、脱毛による喪失感を軽減できるかもしれません。
脱毛の予防法は確立していないものの、頭皮の清潔や負担の軽減を心がけるとよいです。刺激の少ないシャンプーを使用し、手でよく泡立ててから優しく洗いましょう。頭皮を傷つけないように爪を短く切るのもよいでしょう。ドライヤー使用時には低い温度に設定し、パーマやカラーリング、育毛剤などの使用は避けた方がよいです。
抜け始める時に、頭皮が痛む場合もあります。脱毛した所が痛む場合には、早めに医療機関に相談しましょう。
抗がん剤による手足のしびれ(末梢神経症状)が起こるメカニズムは明確には分かっていないため、有効な予防法や対処法は確立されていません。ただ、冷たいものに触れると症状が出やすいといわれているので、冷たいものに触れるときは手袋をしたり、足先が冷えないように家でも靴下をはいたりするとよいかもしれません。また、血流が良くなると症状が緩和されることもあるので、指先の運動、マッサージ、ぬるめのお湯での入浴がおすすめです。
末梢神経障害は、抗がん剤の投与を重ねるたびに症状が重くなる場合もあります。抗がん剤の投与が終了した後、数か月以内で改善することが多いですが、症状が強い場合には改善まで1年以上かかる可能性もあります。
治療を進めるにつれて症状が重くなってきている場合や、日常生活に支障が生じる場合には、早めに医療機関に相談しましょう。
抗がん剤は、血液細胞を作る骨髄の働きを抑制します。骨髄の働きが抑えられると、体内に細菌が入らないように守っている白血球の数が減少します。白血球の数が減ると、身体の抵抗力が低下し、感染症にかかりやすくなります。
白血球が減少している時には、感染症を予防するために、手洗い、うがい、マスク着用などを行いましょう。また、人ごみの多いところを避けたり、生ものを控えて火を通してから食べるということにも気を付けるとよいです。感染の兆候にすぐに気づくために、1日1回は体温を測るのがおすすめです。
37.5℃以上の発熱を認めたら、早めに医療機関に相談しましょう。
子宮体がんに対する抗がん剤治療を行うと、10人に7~8人程度の割合で関節や筋肉の痛みを感じる方がいます。症状は、抗がん剤を投与してから2~3日後に出ることが多いですが、数日以内に改善されるといわれています。
痛みを感じる場所は、背中や足の関節、足の筋肉が多いです。痛み止めを内服すると、症状が軽減することがあるので、我慢せずに担当医に相談しましょう。また痛みが強い場合も、医療機関に早めに相談するようしましょう