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ANK免疫細胞療法とは、そもそもどんな治療なのか、治療を検討する前に知っておくべきことはたくさんあります。ここではANK免疫細胞療法誕生の経緯から治療方法、効果、費用、他の治療法との違いなどを紹介していきます。
ANK免疫細胞療法の開発医師である勅使河原計介博士が、京都大学から米国ダートマス大学に異動したのは1985年のことでした。長年にわたって細胞培養を手がけてきた免疫の専門家である勅使河原博士に、アメリカ国立衛生研究所のグループはこう告げます。
「NK細胞の活性を高め、それを維持しながらNK細胞だけを選択的に増殖できれば、がん治療は変わる。だが、NK細胞は培養が難しい——」
確かにハードルは高い、そして、単純な刺激を強引に押し付ける培養法では無理がある、そう考えながら勅使河原博士は帰国します。
そして1990年代のはじめ、勅使河原博士は大久保祐司医師との共同研究により、ついにハードルをクリアします。複雑な培養技術を組み合わせ、それを駆使することで、アメリカ国立衛生研究所が突破できなかった壁を乗り越えたのです。
NK細胞の活性を従来の方法よりもさらに高め、健常人であれば1,000倍以上に増殖させる、その方法はNK細胞の活性化と増殖という両方の意味を込めて「ANK(Amplified Natural Killer)免疫細胞療法と名付けられました。
以下では、ANK免疫細胞療法について詳しく解説していきます。
がんの完治を目指せる免疫療法として大きな期待が寄せられるANK免疫細胞療法。対象となるのは、臓器の固形がんをはじめ肉腫や白血病、悪性リンパ腫など、ほとんどすべてのがんです。そして、この治療法はがん細胞を直接攻撃するだけではなく、体内に存在している他の免疫細胞を活性化させる効果も期待できるのです。結果として、患者さんの生活の質の改善、向上にもつながりそうです。 一方、治療に用いるNK細胞の活性度が他の免疫療法よりも格段に高いので、高熱や悪寒など、一過性の副作用もみられます。
治療の内容や効果も気になりますが、どうしてもがんの治療には費用の問題がついてまわります。ANK免疫細胞療法は保険診療の適用がないため、全額自費診療扱いとなり、いわゆる標準治療と比較すると高額になります。 ANK免疫細胞療法自体は保険適用になりませんが、標準治療と併用することは可能です。むしろ、標準治療と組み合わせることで相乗効果を期待できるケースも多くあるのです。
免疫細胞療法にはいくつかの種類があり、活性化自己リンパ球療法もそのひとつです。クリニックによってはさまざまな「ブランド名」で呼ばれるこの治療法。患者さん自身の細胞を体外培養で体に戻すということはANK免疫細胞療法と同じですが、決定的に違う点は免疫細胞の攻撃力。そこが治療効果の違いにつながっていきます。
NK細胞の力を利用するという点では、ANK免疫細胞療法もNK細胞療法も同じです。大きく異なるのは、NK細胞の数と培養の仕方。NK細胞療法は一般法と呼ばれる手法で培養を行ないますが、この方法では細胞の活性度に限界があります。その点、ANK免疫細胞療法の培養方法は治療強度が大きく変わります。
「がんワクチン療法」も免疫療法のひとつで、代表的なのが樹状細胞ワクチン療法です。ANK免疫細胞療法と大きく違うのは、樹状細胞の力を利用すること。がん細胞を直接攻撃するANK免疫細胞療法とは異なり、免疫細胞療法の原点を離れた治療法だといえるかもしれません。