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抗がん剤治療によって吐き気や嘔吐が起こることは多いです。これらの症状が続くと、水分や栄養が不足するだけでなく、疲労や倦怠感で日常生活にも影響が出ることがあります。抗がん剤治療を受ける際は、吐き気や嘔吐に対する適切な対処法を知っておくことが重要です。
抗がん剤治療による吐き気や嘔吐は、抗がん剤そのものの作用だけでなく、治療によって体内で発生する物質が消化管や脳を刺激することで引き起こされます。また、副作用に対する不安やストレスも、症状を悪化させることがあります。
抗がん剤による吐き気は、次の3種類に分けられます。
吐き気や嘔吐の程度は個人差があり、抗がん剤の種類によっても異なります。どのような症状が出るかは人それぞれですので、医師と密にコミュニケーションを取りながら対処法を見つけていくことが大切です。
吐き気や嘔吐を和らげるための対処法には、薬の使用だけでなく、生活環境や食事の工夫などがあります。以下の方法を試してみてください。
吐き気や嘔吐があるときは、無理して食べる必要はありません。気分の良いときに、食べられそうなものを少量ずつ食べましょう。食べるもの全てに栄養があるので、栄養バランスを考えるよりも、好きなものを食べることを優先しましょう。
吐き気があるときは、一度にたくさん食べる必要はありません。少量を数回に分けて食べると良いでしょう。たとえば、おむすびやおかずを小分けにして冷蔵庫に保存し、気分が良いときに食べるようにしましょう。
大きな器にたくさん盛り付けると、食べられなかったときに気持ちが落ち込むことがあります。少量ずつ盛り付けて食べることができれば、満足感や安心感が得られる場合もあります。
吐き気や嘔吐の症状があるときは、胃への負担が大きい食べ物は避けることが大切です。炭水化物(ごはん、パン、めんなど)は胃への負担が少ないですが、脂肪や食物繊維の多い食べ物は控えたほうが良いです。
肉や揚げ物は脂肪が多く、野菜や根菜は食物繊維が多いので、吐き気や嘔吐の症状があるときは避けましょう。自分にとって食べやすく、胃への負担が少ない食材を見つけましょう。
吐き気や嘔吐があって食事が思うようにできないときは、くだものやシリアル食品をうまく活用するのも良い方法です。食べやすいくだものを食べたり、缶詰のくだものを利用しましょう。
また、シリアル食品はビタミンやミネラルが多く含まれており、栄養価が高いものも多いです。シリアル食品は保存しやすく、牛乳や豆乳、ヨーグルトなどを加えて手軽に食べられるのもメリットです。
嘔吐した後は消化器の粘膜が過敏になっているので、すぐに食べるとまた吐いてしまうことがあります。嘔吐後は1~2時間は食事を控え、身体を休めましょう。
大量に嘔吐すると水分と電解質を失い、脱水になることがあります。ミネラル飲料やスポーツ飲料、栄養バランス飲料を飲むと良いでしょう。嘔吐が治まった後は、ヨーグルトや冷たいスープなどから食べ始めると良いかもしれません。においの強い食べ物や温かい食べ物は避けましょう。
治療当日の食事を工夫することで、吐き気や嘔吐が起こりにくくなるかもしれません。
治療時は、満腹や空腹よりも、胃の中に少し食べ物がある状態が良いとされています。治療の2~3時間前に、ごはんやおかゆ、パンなどの炭水化物を軽く食べておきましょう。
治療後は、しばらく胃腸を刺激しないように心がけ、飲み物を飲む程度にしましょう。固形物は治療後数時間は避けたほうが良いです。飲み物も熱いものや冷たいものは避け、ぬるめのお茶などがおすすめです。
食事以外にも、吐き気や嘔吐を予防または軽減する方法があります。匂いの強いものは吐き気を引き起こすことがあるので、匂いの強い食べ物や化粧品、芳香剤などは避けましょう。部屋を清潔に保ち、換気をこまめに行いましょう。
音楽やテレビ鑑賞などで気分転換を図ると、吐き気や嘔吐が起こりにくくなる場合もあります。
身体が締め付けられると吐き気や嘔吐が起こりやすくなります。楽な姿勢や服装で過ごすように心がけましょう。
クッションや枕を使って身体を支えるのも良いです。特にお腹の周りを圧迫しないようなゆったりとした服装を選びましょう。
<この記事を書いたのは・・・>
如月 真紀(きさらぎ まき)
医師、医学博士、総合内科専門医。都内の大学病院勤務を経て、現在はアメリカで研究中。医療関連の記事の執筆や監修、医療系動画監修、医療系コンテンツ制作など幅広く手がけている。研究の傍ら、医学の知識や医師の経験を活かし、患者や患者家族のためになるコンテンツ作成を目指している。
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