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オキサリプラチンは、胃がん、すい臓がん、大腸がんなどに使用される抗がん剤です。ここでは、オキサリプラチンの作用や特徴、効果、副作用、注意点などについて説明します。ただし、他の治療薬と同じように、オキサリプラチンの効果や副作用は個人によって異なることも理解しておいてください。
「オキサリプラチン」とは、白金製剤と呼ばれる抗がん剤のひとつです。この白金製剤は日本で開発されたもので、他の白金製剤と同じようにがん細胞が増殖する際に行われるDNAの合成を阻止することによってがん細胞の増殖を抑えたり、がん細胞を死滅させたりする働きを持っています。
オキサリプラチンは、複数の抗がん剤と組み合わせることによって効果が高まるとされています。
オキサリプラチンは、治療においてさまざまな薬と一緒に用いられています。下記のような薬と一緒に使われます。
上記の3種類は、「代謝拮抗薬」と呼ばれるタイプの抗がん剤です。代謝拮抗薬とは、細胞障害性抗がん剤のひとつであり、遺伝子(DNA)の合成を阻止する働きを持っている薬です。
レボホリナートとは、ビタミンB群のひとつである葉酸を元に作られた薬です。レボホリナート自体はがん細胞に対する直接の作用はありませんが、フルオロウラシルと共に使用されます。フルオロウラシルとレボホリナートを一緒に使用することによって、フルオロウラシルの効果が高められます。
イリノテカンは、「トポイソメラーゼI阻害薬」と呼ばれるタイプの抗がん剤です。喜樹という名前の植物から抽出された成分を元にして合成されている抗がん剤ですが、オキサリプラチンや代謝拮抗薬とは異なる方法でDNAの合成を阻害することによって、がん細胞の増殖を抑えます。
ベバシズマブは、分子標的薬のひとつであり、がん細胞に栄養を供給するための血管の新生を阻害することにより、癌の増大を防ぐ働きを持っています。
セツキシマブやパニツムマブも分子標的薬と呼ばれる薬です。がん細胞の増殖に関係している因子(EGFR:上皮細胞増殖因子受容体)を阻害して、がん細胞の増殖や分化を阻止します。
オキサリプラチンは、胃がん、すい臓がん、大腸がんなどに対して使用される薬です。がんの種類により、使用するオキサリプラチンの量や使い方が異なります。オキサリプラチンは、がん細胞を死滅させる作用があります。
オキサリプラチンは、治療切除不能な進行・再発の結腸がんや直腸がん、治療切除不能な膵がん、胃がん、小腸がんなどに対する効果を期待できます。
オキサリプラチンの有効成分は、同名のオキサリプラチンです。オキサリプラチンは、がん細胞のDNAに結合するので、がん細胞の分裂を阻止し、がん細胞を死滅させます。
オキサリプラチンの用法・用量は、がんの種類によって異なります。例えば、成人の小腸がんや治療切除不能な膵がんに対して使用する場合には、1日1回85㎎/㎡(体表面積)を2時間かけて点滴静注し、少なくとも13日間休薬します。これを1クールとして、繰り返し行います。患者さんの状態を考慮し、投与量は適宜調整されます。
オキサリプラチンを治療薬として使用する場合には、基本的な注意点がいくつかあります。
オキサリプラチンの使用中に、骨髄抑制という副作用が出る場合があります。骨髄抑制とは、骨髄のはたらきが低下することで、貧血や出血、感染症を引き起こす原因になります。特に感染症を発症すると、重症化する可能性も高いので注意が必要です。
オキサリプラチンの治療を開始すると、手や足のしびれ、痛みのような末梢神経症状がほぼ全例に起こるといわれています。また、喉の圧迫感や息苦しさのような咽頭喉頭感覚異常が起こることもあります。低温や冷たいもので悪化する傾向があるので、冷たい飲み物や氷を避け、身体を温めるようにするとよいといわれています。末梢神経症状が悪化すると、手や足のしびれで文字が書きにくい、ボタンをかけにくい、歩きづらい、飲み込みにくいなどの症状が出るので注意が必要です。
オキサリプラチンによる治療を始めると、悪心や嘔吐、食欲不振などの消化器症状が、ほとんど全例に起こるといわれています。消化器症状が長く続くと、水分や食事の摂取が不十分になり、脱水症になる可能性があるので注意が必要です。
治療切除不能な膵がんに対する術後補助化学療法においては、オキサリプラチンの有効性は確立されていません。術後補助化学療法とは、手術の後に身体の中に残っているがん細胞に対して抗がん剤を使用し死滅させることで、再発を抑える治療法です。
オキサリプラチンの前回使用時に、骨髄抑制や消化器症状などの副作用を認めた場合には使用量の減量を検討します。
オキサリプラチンを使用中に副作用が出ることがあるので、体調に変化があった時にはすぐに担当医に相談するようにしましょう。副作用によっては、使用を中止する必要があります。 オキサリプラチンの使用中に見られる可能性のある副作用には、以下のようなものが挙げられます。
今回挙げた症状以外でも、オキサリプラチンによる副作用の場合もあるので心配なことがあれば担当医に聞いてみるようにしてください。
オキサリプラチンの使用中に、重大な副作用が起こることがあります。適切に対処しないと命に関わる場合もあるので注意が必要です。オキサリプラチンを使用中に、体調に変化があった時にはすぐに担当医に相談するようにしてください。
オキサリプラチンに対して強いアレルギー反応が出ることがあります。強いアレルギー反応により、血圧低下や呼吸困難、胸痛などのような命の危険がある症状を起こすことをアナフィラキシーとよびます。アナフィラキシーの症状は短時間で出ることが特徴です。アナフィラキシーが疑われる場合には、オキサリプラチンの使用を中止します。
副作用として間質性肺炎が起こると、命に関わる可能性があります。間質性肺炎の症状は、発熱、咳、呼吸困難などです。オキサリプラチンを使用中に間質性肺炎の発症を認めた場合には、すぐに使用を中止し、ステロイドの投与などを行います。
肝機能障害は、オキサリプラチンに限らず、多くの薬で見られることのある副作用です。肝機能障害に早めに気付くために、医療機関では定期的な血液検査で肝酵素やビリルビンの数値を確認する必要があります。
オキサリプラチンの使用中に、腎機能が低下する急性腎障害という副作用が起こることがあります。急性腎障害は命に関わる可能性のある副作用の1つなので、血液検査で腎機能の異常を認めた場合にはオキサリプラチンの中止を検討する必要があります。