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スプリセル

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スプリセルは、慢性骨髄性白血病や再発または難治性フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病に対する治療薬として使われます。ここでは、スプリセルの作用や特徴、効果、副作用、注意点などについて説明します。ただし、スプリセルの効果や副作用は個人によって異なることを理解しておいてください。

スプリセルとは?特徴や効果について

スプリセルは、分子標的薬の1つで、チロシンキナーゼ阻害剤に分類されます。慢性骨髄性白血病や再発または難治性フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病に対して使用されます。スプリセルに含まれる有効成分のダサチニブが、白血病細胞の増殖に必要とされる異常なタンパク質のはたらきを抑えてくれるため、白血病に対する治療効果が期待できます。

スプリセルのような分子標的薬は、正常な細胞には影響を与えず、がん細胞だけを攻撃するため、一般的な抗がん剤のような副作用は少ないと考えられています。しかし、スプリセルに特有のさまざまな副作用が現れる場合があるため、注意が必要です。

スプリセルの用法・用量

スプリセルの用法・用量は、がんの種類によって異なります。

成人の慢性期の慢性骨髄性白血病に対しては、1日1回100mgを経口で服用します。必要に応じて使用量を調整しますが、1日1回140mgまで増量することができます。成人の移行期または急性期の慢性骨髄性白血病に対しては、1回70mgを1日2回経口で服用します。1回90mgを1日2回まで増量できます。

再発または難治性のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病に対しては、1回70mgを1日2回経口で服用します。必要に応じて使用量を調整し、1回90mgを1日2回まで増量できます。

患者さんの状態に応じて、投与量は適宜調整されます。

用法・用量に関連する注意点

スプリセルを服用する際には、いくつか注意すべきことがあります。たとえば、病状や治療方針、副作用などによって服用の仕方が異なるため、医師に指示された用法・用量を守ることが重要です。自己判断で服用を中止したり、服用量を変えたりしてはいけません。決められた用法・用量を守らないと、期待する効果が得られないだけでなく、病状が悪化する可能性があるため、注意が必要です。

また、スプリセルを経口で服用する際には、活性物質が口の中で溶出するのを防ぐために噛まないようにしましょう。

もしスプリセルの服用を忘れた場合は、次回の服用時に1回分を服用します。飲み忘れたからといって2回分を同時に服用すると、副作用が強く現れる可能性があるため避けましょう。

飲み合わせ・食べ合わせに関連する注意点

スプリセルを服用する際は、飲み合わせや食べ合わせに注意が必要です。飲み合わせによっては、薬の副作用が出やすくなったり、薬の効果が弱まる場合があります。

服用中の薬は必ず医師に伝えるようにしましょう。スプリセルを服用中にサプリメントや市販薬、他院で処方された薬などを服用する場合は、事前に担当医に相談することをおすすめします。

また、薬以外にも飲み合わせや食べ合わせに注意が必要なものがあります。たとえば、グレープフルーツジュースを飲むと、スプリセルの血中濃度が上昇し、副作用が出やすくなる可能性があります。そのほか、スプリセルの効果を弱める可能性があるため、セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)を含む健康食品は控えるようにしてください。

スプリセルの主な副作用

スプリセルは分子標的薬なので、正常細胞にダメージを与えずに、標的とするがん細胞だけを攻撃できます。そのため、従来の抗がん剤で見られるような副作用は少ないと考えられています。しかし、分子標的薬特有のさまざまな副作用が現れることがあるため、注意が必要です。

スプリセルの投与中に起こりうる副作用には、吐き気や嘔吐、皮膚の発疹、顔や手足のむくみ、下痢、筋肉痛、発熱などがあります。これらの副作用は、投与後8週間までに認められることが多いとされていますが、投与後8週以降でも副作用が現れる可能性があるため、体調に変化を感じた場合にはすぐに担当医に相談しましょう。副作用の程度によっては、スプリセルの投与を中止したり、投与量を調整することがあります。

吐き気・嘔吐

副作用として現れる吐き気や嘔吐の症状には個人差があります。症状に応じて、吐き気止めが処方される場合があります。吐き気や嘔吐が続き、食事や水分がとれない場合は脱水症状の危険性があるため、早めに医療機関に連絡しましょう。吐き気や嘔吐が落ち着いている時には、食べやすいものを少量ずつとるようにしてみてください。

皮ふの発疹(赤み、かゆみ)

スプリセルを服用中に、前腕や太ももなどに皮膚の赤みやかゆみが現れることがあります。症状が強い場合は、塗り薬や内服薬が処方されます。

顔や手足のむくみ

スプリセルの服用後に、顔や手足のむくみ、むくみによる体重の増加などの副作用が現れることがあります。むくみにより、目のまわりが腫れる、靴が履けない、歩きづらいといった症状を自覚するかもしれません。徐々に改善することもありますが、症状がつらい場合や痛みを伴う場合は我慢せず担当医に相談しましょう。

下痢

1日3回以上の下痢や排便回数の増加などの症状が見られる場合は、下痢止めが処方されることがあります。下痢が続くと脱水症状の危険性があるため、十分な水分補給が必要です。ただし、下痢に加えて発熱や嘔吐、腹痛などの症状がある場合は、早めに医療機関に連絡しましょう。

筋肉痛

スプリセルの服用中に、一時的に背中や肩、腕、腰、関節などに痛みが現れることがあります。痛みが強い場合は、痛み止めが処方されることがあります。痛みを感じる部分を温めたり、マッサージをすることで症状が緩和する場合もあります。

発熱・風邪のような症状

スプリセルの副作用で白血球数が減少すると、細菌に感染しやすくなるため、発熱や悪寒、喉の痛み、口内炎などの症状が現れることがあります。発熱や風邪のような症状が認められた場合は、すぐに担当医に相談しましょう。

スプリセルの重大な副作用

スプリセルの服用中に、重大な副作用が現れることがあります。重大な副作用には骨髄抑制、体液貯留、感染症、間質性肺疾患、出血、心不全などがあり、適切に対処しないと命に関わる場合もあるため、注意が必要です。

特に頻度が高いのは胸水で、咳、息苦しさ、急激な体重増加などの症状が現れます。スプリセルの服用中に体調に変化があった際には、すぐに担当医に相談してください。

如月 真紀

<この記事を書いたのは・・・>

如月 真紀(きさらぎ まき)

医師、医学博士、総合内科専門医。都内の大学病院勤務を経て、現在はアメリカで研究中。医療関連の記事の執筆や監修、医療系動画監修、医療系コンテンツ制作など幅広く手がけている。研究の傍ら、医学の知識や医師の経験を活かし、患者や患者家族のためになるコンテンツ作成を目指している。

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