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鼻腔がん・副鼻腔がんは、初期にはほとんど症状がありません。もし症状が出たとしても、鼻腔がんや副鼻腔がんと気づかない方が多いといわれています。鼻腔がん・副鼻腔がんの治療法には、手術、薬物療法、放射線療法などがあります。鼻腔がん・副鼻腔がんに対しては、抗がん剤や分子標的薬で薬物療法を行いますが、副作用でやめたいと思う方も多いといわれています。
こちらでは鼻腔がん・副鼻腔がんについて、特徴や症状、治療法、薬物療法の副作用などを紹介します。
鼻の内部を鼻腔、鼻腔とつながっている空洞を副鼻腔とよびます。副鼻腔は、顔の骨の中にある空洞なので外側から見ることはできません。副鼻腔には4種類の空洞が含まれ、左右対称に1つずつあります。4種類の空洞の名前は、前頭洞(ぜんとうどう)、篩骨洞(しこつどう)、上顎洞(じょうがくどう)、蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)です。
鼻腔や副鼻腔に発生するがんを、鼻腔がん、副鼻腔がんとよびます。がん全体で見ると、発生率は高いとはいえず、まれながんと考えられています。鼻腔がんと副鼻腔がんは、女性より男性に多いがんです。また、喫煙や大量飲酒が鼻腔がんと副鼻腔がんの発生に大きく関わっています。
鼻腔がんや副鼻腔がんで見られる主な症状は、鼻づまり、鼻血、頬のしびれなどです。片側だけ涙が出るという症状が出る場合もあります。痛みを伴うことは、初期の場合にはほとんどありません。鼻血は少量でも、鼻腔がんや副鼻腔がんの可能性があります。もし、このような症状が数週間にわたって片側だけ続くようであれば注意が必要です。
また、がんが進行すると頬の腫れ、歯のぐらつき、目が飛び出す、口が開けづらいというような症状が出ます。がんが進行しないと症状が出ない場合も多いといわれています。
副鼻腔がんの中で最も多いのは上顎洞がんですが、上顎洞は大きいため、がんがかなり大きくならないと気付かれないという特徴があります。
がんの進行度の把握や治療方針の決定のために、ステージ分類が行われます。ステージ分類は、がんの発生している場所、がんが広がっている範囲、リンパ節や他の臓器への転移などをもとに決められます。主に画像検査によって、がんの大きさや転移の有無を調べ、ステージを決めます。鼻腔がん・副鼻腔がんのステージは、Ⅰ期、Ⅱ期、Ⅲ期、Ⅳ期に分けられ、がんが進行すると数字が大きくなります。
鼻腔がん・副鼻腔がんの治療方針は、ステージ分類だけでなく、全身状態や合併症の有無などによって決まります。
鼻腔がんや副鼻腔がんの検査では、まず鼻鏡とよばれる器具を使用し、鼻腔内を観察します。鼻鏡だけではなく、耳鼻科用の内視鏡を使用して鼻腔内の様子をさらに詳しく観察する場合もあります。がんの大きさやがんの広がっている範囲、転移の有無などを調べるために、CT検査などの画像検査も必要です。
がんの確定診断をするためには、がんが疑われるものの一部を採取し、顕微鏡でがん細胞の有無を調べます。
鼻腔がん・副鼻腔がんでは、がんの発生する場所が鼻の内部や顔の内側であり、場合によっては眼球の近くまでがんが進行している場合があります。そのため、鼻腔がん・副鼻腔がんの治療では、がんを取り除くだけでなく、機能の温存や整容性も考慮しなければなりません。
なるべく機能を温存するために、放射線療法や薬物療法を組み合わせて治療してから手術をすることもあります。鼻腔がん・副鼻腔がんに対しては、先進医療である粒子線治療も選択肢の1つです。従来の放射線療法ではX線を使用しますが、粒子線治療では陽子線や重粒子線を使用します。
治療によって鼻腔がん・副鼻腔がんがなくなったことを確認したのに、がんがあった周囲の組織やリンパ節、他の臓器に再びがんを認めた場合に「再発した」と判されします。再発が起こりやすいのは、治療が終わってから3年間といわれています。
鼻腔がん・副鼻腔がんの再発に対する治療法は、がんが存在する場所によって異なります。例えば、副鼻腔がんの中で最も多い上顎洞にがんが再発した場合には手術や放射線療法を行うかどうか検討します。がんによる症状を和らげ、苦痛を取り除くために薬物療法が行われる場合もあります。
鼻腔がん・副鼻腔がんに対する薬物療法では、主に抗がん剤や分子標的薬を使用します。分子標的薬は、がん細胞が増えるために必要なタンパク質や血管などを標的にして攻撃する薬です。
鼻腔・副鼻腔がんに対して使用される抗がん剤は、シスプラチン、タキサン系抗がん剤、5FUです。また、分子標的薬ではセツキシマブが使われます。
抗がん剤では、悪心、嘔吐、下痢、食欲低下、浮腫、口内炎、貧血などの副作用が起きることがあります。また、分子標的薬であるセツキシマブでは消化管穿孔や皮膚障害、高血圧、血栓症などの副作用が起きる可能性があります。
薬物療法による副作用がつらいため、治療をやめたいと思う人も少なくありません。
ANK免疫細胞療法とは、がんに対する攻撃力を高めたNK細胞を利用し、がん細胞を退治する治療法です。ANK免疫療法の対象となるがんは、固形がん、肉腫、白血病、悪性リンパ腫などです。鼻腔・副鼻腔がんに対しても、治療法の1つとして検討できます。
ANK免疫細胞療法では、自分自身のNK細胞を利用するため、副作用がほとんどないという特徴があります。また、ANK免疫細胞療法は、鼻腔・副鼻腔がんに対する従来の治療法である手術療法や放射線療法、薬物療法との併用も可能です。がんの薬物療法で使用される分子標的薬とANK免疫細胞療法を併用した場合には、分子標的薬でがん細胞の増殖を抑えながら、NK細胞ががん細胞を攻撃することによる効果を期待できます。
どんながんも治る魔法の薬はありません。
ゆえに、保険治療の抗がん剤だけでは緩和や延命が目的になることもありますが、ほかの治療と併用することで好転することもあります。できる治療すべてを試す覚悟が大事だということも覚えておきましょう。
治療のひとつの選択肢として挙げられるのが、ANK免疫細胞療法。がん退治の本命細胞である「NK細胞」を活性化させてがん治療を行っていく免疫療法のひとつです。
以下の動画で、ANK免疫細胞療法のしくみを詳しく紹介していますのでぜひご覧ください。
<この記事を書いたのは・・・>
如月 真紀(きさらぎ まき)
医師、医学博士、総合内科専門医。都内の大学病院勤務を経て、現在はアメリカで研究中。医療関連の記事の執筆や監修、医療系動画監修、医療系コンテンツ制作など幅広く手がけている。研究の傍ら、医学の知識や医師の経験を活かし、患者や患者家族のためになるコンテンツ作成を目指している。