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ジェムザールは、肺がんや膵がん、胆道がん、手術不能または再発乳がんなどに対する治療薬として使われます。ここでは、ジェムザールの作用や特徴、効果、副作用、注意点などについて説明します。ただし、他の治療薬と同じように、ジェムザールの効果や副作用は個人によって異なることも理解しておいてください。
「ジェムザール」はイーライリリー社が開発した薬で、「ピリミジン拮抗薬」に分類される抗がん剤です。この薬を投与すると、がん細胞のDNAに入り込み、細胞分裂に必要なDNAの合成を阻害することによってがんの分裂・増殖を抑えることができます。
この薬は1966年に膵臓がんの治療薬としてアメリカで承認されていますが、進行膵臓がんに有効な抗がん剤が少なかったために、このジェムザールの単独投与が膵臓がん治療の第一選択薬となりました。また、その後のアメリカでは2年後にジェムザールとブリプラチン(一般名シスプラチン)を併用した治療が、進行性症細胞肺がんの第一選択薬として承認されています。
日本においてはジェムザールが承認されたのは1999年のことです。当時の適応症は非小細胞肺がんのみとなっていましたが、その後、2001年4月には膵臓がんへの適応拡大が認められています。
ジェムザールの特徴として、以前から使用されてきた5-FUと近い作用メカニズムを持っている点が挙げられています。しかし、5-FUと比較するとその効果が格段に強められていることから、5-FUなどでは効果がなかった進行膵臓がんの治療に対しても、単独でかなりの治療効果が期待できるとされています。
海外の臨床効果では、腫瘍の縮小効果はそれほど高くなかったものの、痛みなどの症状を緩和する効果が大きく向上したと報告されています。この点から、ジェムザールはがんを縮小させなくとも、患者の生活の質を高めつつ延命を図ることができる、という新しい考え方から承認された薬であるといえるでしょう。
また、ジェムザールを治療に使用した場合の副作用としては、骨髄抑制が代表的なものとして挙げられます。しかし、投与に伴って発生する吐き気や嘔吐、脱毛、全身の倦怠感などの自覚症状の副作用は軽い場合が多い、といわれている点もジェムザールの特徴のひとつとされています。
ジェムザールを治療に使用するにあたっては、非小細胞肺がんや膵がんなどに対して単独で投与される場合には、点滴静注で週1回の投与を3週連続で行い、4週目は投薬を休むという4週間1コースのスケジュールを繰り返します。また、乳がんの治療において単独療法を行う場合には、週1回の投与を2週続けて3週目は投薬を休むという3週間を1サイクルとして、数サイクル繰り返すスケジュールになります。
このように、週に1回の点滴を行う形となっており、入院して投与を行う場合もありますが、通院が可能なケースにおいては外来で投薬を行っていく場合もあります。ただし、上記の投与スケジュールはあくまで一例であるため、副作用の程度や症状の改善度など、さまざまな面を考慮しながら投与の方法や投薬量を調整していきます。
上記の通り、ジェムザールは5-FUと比較すると副作用が少ないとされており、脱毛や激しい吐き気などはあまり起こりません。ただし、白血球の減少や血小板の減少などの副作用が出る場合もあるため、副作用のサインにはどのようなものがあるのか、担当医師に詳しく聞いておくことが大切です。
ジェムザールは、肺がんや膵がん、胆道がん、手術不能または再発乳がんなどに対して使用される薬です。ジェムザールは、がん細胞の増殖に必要なDNAの合成を阻害し、がん細胞を消滅させます。
ジェムザールは、非小細胞肺がん、膵がん、胆道がん、尿路上皮がん、手術不能または再発乳がん、がん化学療法後に増悪した卵巣がん、再発または難治性の悪性リンパ腫に対して効果を期待できます。
有効成分であるゲムシタビンが、がん細胞の増殖に必要なDNAの合成を阻害し、がん細胞を消滅させます。
非小細胞肺がんや膵がん、胆道がん、尿路上皮がん、がん化学療法後に増悪した卵巣がん、再発または難治性の悪性リンパ腫の治療においてジェムザールを使用する場合には、週1回の投与を3週連続して行い、その次の4週目は休薬するスケジュールになります。この4週間を1コースとして、投与を繰り返していきます。
通常、成人の患者の場合には1回1,000mg/㎡を30分かけて点滴静注しますが、患者の状態を見て適宜減量しながら投薬が行われていきます。
手術不能、または再発した乳がんの治療においては、週1回の投与を2週繰り返し、その後の3週目は休薬するスケジュールになります。このサイクルを1コースとし、投与を繰り返していきます。
通常、成人に対しては1回1,250mg/㎡を30分かけて点滴静注しますが、こちらのケースにおいても投薬の量は患者の状態を見ながら適宜減量されます。
ジェムザールの治療中に注意すべき点がいくつかあります。
ジェムザールで治療を行うと、骨髄のはたらきが抑えられることがあります。骨髄は、赤血球や白血球、血小板を作っているので、骨髄のはたらきが抑えられると、貧血や感染症、出血傾向などが起こる可能性があります。骨髄の機能が低下していると判断された場合には、骨髄の機能が回復するまで投与の延期が必要です。
ジェムザールの治療中に、間質炎肺炎を起こす可能性があるので発熱や咳などの症状や呼吸状態に注意する必要があります。定期的に胸部X線検査を行い、肺に異常が起こっていないか確認します。間質性肺炎が起こった場合には、ジェムザールの投与は中止する必要があります。
胆道がんや尿路上皮がん、手術不能または再発乳がんに対する術後補助化学療法におけるジェムザールの安全性や有効性は確立されていません。術後補助化学療法とは、手術の後に身体の中に残っているがん細胞に対して薬を使用し死滅させることで、再発を抑える治療法です。
がんが明らかに大きくなったり、病状が進行したりした場合には、投与を中止し、他の治療法に切り替えることが推奨されています。
ジェムザールの治療中に副作用が出ることがあるので、体調に変化があった時にはすぐに担当医に相談するようにしましょう。副作用によっては、投与を中止する必要があります。
ジェムザールの投与中に見られる可能性のある副作用には、以下のようなものが挙げられます。
今回挙げた症状以外の副作用が生じる場合もあるので、心配なことがあれば担当医に聞いてみるようにしてください。
ジェムザールの治療中に、重大な副作用が起こることがあります。適切に対処しないと命に関わる場合もあるので注意が必要です。ジェムザールの治療中に、体調に変化があった時にはすぐに担当医に相談するようにしてください。
ジェムザールに対して過敏症状が出る場合があります。蕁麻疹や呼吸困難などの症状を認めた場合には、すぐにジェムザールの投与を注意し、副腎皮質ステロイドや抗ヒスタミン薬などの処置をする必要があります。
ジェムザールの治療中に、心筋梗塞や心不全などの心障害が起こることがあります。胸痛や呼吸困難、動悸などの症状を認めた場合には注意が必要です。
肝機能障害は、多くの薬の投与中に見られることのある副作用です。肝機能障害に早めに気付くために、医療機関では定期的な血液検査で肝酵素やビリルビンの数値などを確認します。肝機能障害が進行すると、肝臓の機能がほとんど機能していない肝不全とよばれる状態になるので注意が必要です。
ジェムザールの治療中に、腎障害を認めることがあるので、投与期間中は定期的に血液検査を行い、腎機能が低下していないか確認します。腎機能障害が進行すると腎不全とよばれる状態になります。腎不全になると、患者さん自身の腎臓だけでは身体の中の老廃物や不要な水分を身体の外に出せなくなります。